橋本病の血液検査の数値についてよくある質問

橋本病の数値は治療によって改善しますか?
橋本病によって甲状腺機能が低下し、TSHが高くFT4が低い状態になった場合、ホルモン補充療法によって甲状腺ホルモンの数値は改善します。橋本病の原因である自己免疫の異常そのものを取り除く治療薬はありませんが、不足している甲状腺ホルモンをレボチロキシンナトリウム製剤などで補うことで、身体に必要なホルモン量を保つことができます。適切な量の薬を毎日服用すると、FT4が基準範囲に戻り、それに伴って高かったTSHも徐々に低下して安定します。TSHが目標範囲に維持されていれば、薬の量が現在の状態に合っており、代謝の状態が保たれていると考えます。
ただし、抗TPO抗体や抗Tg抗体などの自己抗体は、ホルモン補充療法を行っても消えるわけではありません。治療の主な目的は、自己抗体をゼロにすることではなく、TSHやFT4を適切な範囲に保ち、症状を抑えながら日常生活を続けやすくすることです。
健康診断の血液検査で橋本病に気付くことはありますか?
健康診断の結果がきっかけで、橋本病や甲状腺機能低下症に気付くことはあります。一般的な健康診断や人間ドックは、TSHやFT4が標準項目に含まれていないことがあるため、橋本病がその場で診断されるとは限りません。ただし、一般的な血液検査の異常から甲状腺機能低下症が疑われ、追加検査でわかることがあります。きっかけになりやすい項目は、コレステロール値の上昇です。甲状腺ホルモンは脂質代謝に関わるため、不足すると総コレステロールやLDLコレステロールが上がることがあります。また、筋肉への影響を示すクレアチンキナーゼ、CKや、乳酸脱水素酵素、LDHの上昇、貧血、ASTやALTの軽い上昇などがみられることもあります。急にコレステロール値が上がった、原因がはっきりしない肝機能異常や貧血を指摘された場合に、冷え、倦怠感、体重増加などがあれば、甲状腺機能の検査についてかかりつけ医に相談するとよいでしょう。
編集部まとめ

橋本病の診断や経過観察において、血液検査の数値が現在の甲状腺の状態を知る手がかりです。FT4やFT3は血液中で働く甲状腺ホルモンの量を示し、TSHは脳が甲状腺に送る刺激の強さを表します。FT4が正常でもTSHが高い場合は、甲状腺ホルモンが不足し始めている可能性があり、潜在性甲状腺機能低下症として経過をみることがあります。抗TPO抗体や抗Tg抗体は、甲状腺に自己免疫による炎症が起きていることを示し、橋本病の診断を支える項目です。
検査結果を理解しておくと、自分の状態を把握しやすくなり、診察時に医師へ相談しやすくなります。ただし、数値の意味は検査項目ごとに異なり、抗体の高さだけで重症度や治療の必要性が決まるわけではありません。TSH、FT4、症状、年齢などを含めて判断するため、気になる数値がある場合は自己判断せず、主治医に確認しながら治療や定期検査を続けていきましょう。
参考文献
『慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン』(日本甲状腺学会)
『橋本病(慢性甲状腺炎)』(日本内分泌学会)
『潜在性甲状腺機能異常』(日本内分泌学会)
『処方箋に印字する検査値の基準範囲』(千葉大学医学部附属病院)
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