手放す決意
転機になったのは、家の片づけをしていた時でした。
押し入れの奥から出てきたミシンには、うっすらとほこりが積もっています。
最後に使ったのがいつだったのかも思い出せません。
Aは改めて考えました。
「もう使わない」
そう判断し、粗大ごみに出すことを決めたのです。
押し入れの奥で場所を取り続けていたミシンを前に、Aはしばらく処分するかどうか迷いました。
けれど同時に「母親なら手作りして当たり前」という考え方を、自分がずっと抱えていたことにも気づいたのでした。
変わる価値観
最近は、手芸が得意な人が作品を販売する機会も増えています。
入園や入学に必要な袋類を注文できるサービスも珍しくありません。
ミシンを手放した時、Aは「母親ならこうあるべき」という思い込みも一緒に手放せたような気がしました。
あのミシンを処分したことで、Aは親に求められる役割や価値観も変わってきたのだと改めて感じたのでした。

