草むらや畑仕事の合間に、知らず知らずのうちに近づいてくるマダニ。ちょっとした野外活動が、思わぬ感染症につながることをご存知でしょうか。国立健康危機管理研究機構の発表によると、2026年第26週には重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の患者さんが新たに7人報告され、今年に入ってからの累積報告数は90人となりました。今回は、この発表内容とあわせてマダニから身を守る方法について、吉野先生に伺いました。

監修医師:
吉野 友祐(医師)
広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。
国立健康危機管理研究機構が発表した内容とは?
編集部
国立健康危機管理研究機構が発表した内容を教えてください。
吉野先生
国立健康危機管理研究機構の発表によると、2026年第26週(6月22〜28日)に報告されたSFTSの患者数は全国で7人でした。これにより、2026年に入ってからの累積報告数は90人となっています。都道府県別では、静岡県、兵庫県、岡山県、広島県、徳島県、愛媛県、大分県でそれぞれ1人の報告がありました。これまでの累積報告数を見ると、愛媛県が7人、静岡県と愛知県が6人、兵庫県と山口県、長崎県、熊本県、大分県が5人となっています。
SFTSは、主にウイルスを持つマダニに刺されることで感染する病気で、発熱や倦怠感、消化器症状(吐き気や下痢など)が表れ、血小板減少や白血球減少を伴うこともあります。重症化すると命に関わります。特に春から秋にかけてはマダニの活動が活発になるため、山や草むら、畑などに入る際は注意が必要です。また、SFTSはマダニだけでなく、感染した犬や猫などの動物との接触、あるいは患者さんの血液や体液との接触による感染も報告されています。
マダニの対策方法とは?
編集部
マダニの対策方法について教えてください。
吉野先生
マダニ対策としては、吸血中のマダニを自力で無理に取り除こうとせず、皮膚科などの医療機関で除去や消毒といった適切な処置を受けることが大切です。刺された後は数週間程度体調の変化に注意し、発熱などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診しましょう。野外活動の後は、上着や作業着を家の中に持ち込まないようにし、入浴の際にマダニが付着していないか確認しましょう。
服についたマダニは、ガムテープや粘着カーペットクリーナーで取り除くのも効果的です。さらに、「ディート」や「イカリジン」などの成分を含む忌避剤(虫よけ剤)を使うと付着数を減らせますが、完全には防げないため過信せず、さまざまな防護手段と組み合わせて対策を取りましょう。

