小児が「ネフローゼ症候群」を発症するとどんな「症状」が現れるかご存知ですか?

小児が「ネフローゼ症候群」を発症するとどんな「症状」が現れるかご存知ですか?

小児のネフローゼ症候群は、尿に蛋白が多く漏れ出る病気です。血液中のアルブミンが減るため、顔や足のむくみ、体重増加、尿量の減少などが起こります。治療で尿蛋白が消えて寛解しても、再発をくり返すことがあります。家庭での尿検査、学校生活での運動調整、予防接種の時期などを主治医と確認することが、日常生活を続けるうえで役立ちます。

林 良典

監修医師:
林 良典(医師)

【出身大学】
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター

小児のネフローゼ症候群の特徴

小児のネフローゼ症候群の特徴

小児がネフローゼ症候群になるとどのような症状が現れますか?

小児のネフローゼ症候群は、まぶたや足のむくみが目立ちます。朝はまぶたが腫れ、夕方は足がむくむことがあります。短期間で体重が増えたり、尿量が減ったりすることもあります。

むくみが強いと、おなかや胸に水がたまる場合があります。おなかに水がたまると、腹痛、吐き気、下痢が出ることがあります。胸に水がたまると、息苦しさにつながることもあります。

また、ネフローゼ症候群は、血液中のアルブミンが減るため、血管の中に水分を保ちにくくなります。そのため、血圧低下や腎機能の低下が起こる場合があります。発熱、強い腹痛、息苦しさ、急なむくみの悪化があるときは、早めに医療機関へ相談します。

参照:『微小変化型ネフローゼ症候群』(小児慢性特定疾病情報センター)

小児のネフローゼ症候群と大人のネフローゼ症候群の違いを教えてください

小児と大人では、原因や治療反応に違いがあります。小児は、明らかな原因疾患がない特発性ネフローゼ症候群が多い傾向にあります。大人は、糖尿病、膠原病、感染症、薬剤などに伴う二次性も確認します。

小児は、ステロイド薬に反応するタイプが多くあります。尿蛋白が消える寛解に入った後も、再発をくり返すことがあります。治療反応により、ステロイド感受性、頻回再発型、ステロイド依存性、ステロイド抵抗性に分けて考えます。

大人は、腎生検で病型を確認して治療方針を決める場面が多くあります。小児は、年齢、症状、検査結果、治療反応をみながら、腎生検の必要性を判断します。

小児のネフローゼ症候群で多い病型はどのようなものですか?

小児で多い病型は、微小変化型ネフローゼ症候群です。光学顕微鏡で観察しても腎臓の変化が目立ちにくい病型です。小児の特発性ネフローゼ症候群では、この病型が多くを占めます。

小児ネフローゼ症候群の約90%は、原因不明の特発性ネフローゼ症候群です。さらに、その約90%が微小変化型ネフローゼ症候群とされています。微小変化型の80〜90%は、ステロイド薬による治療に反応するステロイド感受性です。

ステロイド抵抗性では、巣状分節性糸球体硬化症などを含めて評価します。治療への反応が乏しい場合は、腎生検や遺伝学的検査を検討することがあります。

参照:
『微小変化型ネフローゼ症候群』(小児慢性特定疾病情報センター)
『微小変化型ネフローゼ症候群』(日本小児科学会)

小児のネフローゼ症候群の治療経過と日常生活

小児のネフローゼ症候群の治療経過と日常生活

小児のネフローゼ症候群はどのように治療されますか?

初発の小児特発性ネフローゼ症候群は、経口ステロイド薬による治療が中心です。むくみが強い場合や全身状態が不安定な場合は、入院で治療を始めることがあります。治療中は、尿蛋白、血液中のアルブミン、体重、血圧を確認します。むくみが強い場合は、塩分の調整、利尿薬、アルブミン製剤などを病状に応じて使います。

尿蛋白が消えても、薬を自己判断で中止しないことが大事です。ステロイド薬は、病状に合わせて量を調整します。急に中止すると、再発や体調不良につながる場合があります。

再発をくり返す場合は、免疫抑制薬を使うことがあります。治療が長くなる場合は、感染症、血圧、骨、成長、眼の合併症も確認します。

参照:『特発性ネフローゼ症候群』(東京都立小児総合医療センター)

再発しやすいと聞きました。どのような特徴がありますか?

ネフローゼ症候群は、寛解後に再び蛋白尿が出ることがあります。これを再発と呼びます。小児は、風邪などの感染症をきっかけに再発することがあります。

小児は、約90%がステロイド感受性ネフローゼ症候群です。一方で、約70〜80%は再発を経験するとされています。

再発の早期把握には、家庭での尿検査が役立ちます。朝の尿を尿試験紙で確認し、蛋白尿が続く場合は主治医へ連絡します。むくみが強くなる前に対応できると、身体への負担を減らしやすくなります。

参照:『特発性ネフローゼ症候群』(東京都立小児総合医療センター)

学校生活ではどのような点に注意が必要ですか?

学校生活では、病状が落ち着いている時期と再発時で対応を分けます。寛解を維持している場合は、必要以上に運動を制限しないことが一般的です。体育、遠足、運動会への参加は、主治医の指示に沿って決めます。

むくみが強い時期や血圧が高い時期は、運動を控える場合があります。長期のステロイド治療などで骨が弱くなっている場合は、柔道やラグビーなど背骨に強い衝撃が加わる競技を控えることがあります。

学校では、体育の参加範囲、給食の塩分、服薬時間、体調不良時の連絡先を共有します。学校生活管理指導表を使うと、担任や養護教諭と対応を合わせやすくなります。

参照:『運動について』(日本小児腎臓病学会)

配信元: Medical DOC

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