その『腰痛』、原因は腰だけ? 治療・リハビリの進め方と隠れた病気の見極め方を医師が解説

その『腰痛』、原因は腰だけ? 治療・リハビリの進め方と隠れた病気の見極め方を医師が解説

腰痛の原因は筋肉や関節の負担から、神経の圧迫、内科的な病気までさまざまです。だからこそ、痛みの背景を見極めた上で、その人に合った治療やリハビリテーションを選ぶことが大切です。今回は、診察から治療、回復までの流れについて、こごた整形外科クリニック院長の佐藤先生に聞きました。

※2026年6月取材。

佐藤 諒

監修医師:
佐藤 諒(こごた整形外科クリニック)

2011年3月、岩手医科大学医学部卒業。岩手県立大船渡病院初期研修医。岩手医科大学医学部 救急医学講座 岩手県高度救命救急センター、東北労災病院整形外科、佐々木整形外科などを経て、2022年3月にこごた整形外科クリニックを開業。現在は院長を務める。日本専門医機構認定整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医、医学博士、日本リハビリテーション医学会臨床認定医、日本医師会認定産業医。

腰痛の診断はどのようにして行うのか?

腰痛の診断はどのようにして行うのか?

編集部

腰痛の診察では、最初に何を確認するのでしょうか?

佐藤先生

まず大切なのは、痛みがいつから始まったか、どこが痛むか、脚のしびれや筋力低下があるか、発熱や体重減少、排尿・排便障害がないかを丁寧に問診することです。診察では、動きで痛みが変わるか、神経症状があるか、姿勢や筋肉の緊張に異常がないかも確認します。腰痛は筋肉や関節の問題だけでなく、神経の圧迫や別の病気が隠れていることもあるため、問診と身体診察が非常に重要です。

編集部

MRIやCTの検査を必ず行うのでしょうか?

佐藤先生

いえ、腰痛では画像検査をすぐ行わなくても対応できることも多いので、MRIやCTなどの検査が必ずしも必要というわけではありません。一方、骨や神経の異常が疑われたり、重い病気の可能性があったりする場合には、これらの検査を行います。

編集部

どんな場合に「重い病気の腰痛」を疑うのでしょうか?

佐藤先生

発熱、がんの既往、強い外傷、原因不明の体重減少、進行する脚の筋力低下、歩行できないほどの下肢の痛みやしびれ、「漏れる」「出にくい」などの排尿・排便障害がある場合は、感染、骨折、悪性腫瘍、神経の強い圧迫などが隠れている可能性があります。こうしたケースでは、精査をおすすめします。逆に危険なサインがなく、神経症状も軽い場合には、画像検査を急がず保存的に経過を見るケースも少なくありません。

編集部

原因はどのように絞り込んでいくのでしょうか?

佐藤先生

まず、痛みの性質や動作との関係、しびれ、夜間痛・安静時痛の有無などを問診で確認し、必要に応じて画像検査も取り入れながら原因を絞り込んでいきます。というのも、腰痛の原因は、筋肉や靱帯(じんたい)の負担、椎間板や関節の変化、神経の圧迫といった整形外科的なものが多い一方で、リウマチなどの炎症性疾患や、胃・十二指腸・膵臓・泌尿器などの内科的な病気が関わることもあるためです。こうした幅広い可能性を一つずつ見極めていくことが大切です。

腰痛の治療法は?

腰痛の治療法は?

編集部

腰痛の治療は、どのように進めるのでしょうか?

佐藤先生

多くの場合、まず保存的治療から始めます。その目的は、痛みや炎症を和らげながらできる範囲で日常生活を保つことです。安静を長く続けるよりも、無理のない範囲で体を動かしつつ、薬物療法など必要な治療を組み合わせていくことが基本になります。

編集部

薬物療法では、どんな薬が使われますか?

佐藤先生

痛みの強さや性質に応じて、消炎鎮痛薬や筋肉の緊張を和らげる薬などが使われます。場合によってはブロック注射などを行いながら、痛みの悪循環を断ち切り、症状をコントロールします。

編集部

薬物療法以外には、どんな治療法がありますか?

佐藤先生

運動療法を中心としたリハビリや、温熱療法などの物理療法を組み合わせて行います。これらによって痛みを和らげ、歩ける距離を少しずつ延ばしていきます。さらに、腰椎や股関節の動きを改善することで、結果的に鎮痛薬に頼らずに過ごせる場面を増やせるのも、こうした治療の大きな利点です。

編集部

手術が必要になるのは、どのような場合でしょうか?

佐藤先生

一般的に、腰痛で手術が必要になるケースはそれほど多くありません。ほとんどの場合は薬物療法や運動療法などで症状の緩和を目指します。ただし、腰椎分離症や腰椎すべり症などでは、病態によって手術を行うこともあります。
原因によって治療法が異なるため、「腰が痛い」と一言で片付けず、精査することが大切です。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。