「膀胱がんの情報がない」―患者2人が始めた会に、全国から130人が集う理由とは?

「膀胱がんの情報がない」―患者2人が始めた会に、全国から130人が集う理由とは?

膀胱(ぼうこう)がんは生活への影響が大きい一方で、同じ経験を持つ仲間と出会いにくく、治療の選択肢もおよそ30年にわたって限られてきたとされます。病気そのものや治療に関しては医療者に質問することもできます。しかし、治療に伴う心身の不安や仕事のこと、経済問題など、実際に体験した患者さんでなければわからないことも多くあります。膀胱がんに関するそうした情報交換の場として、膀胱がん患者会「PABC(Patient Association of Bladder Cancer)」が2025年11月に発足しました。フェリング・ファーマが2026年6月に東京都内で開催した記者発表会では、患者会代表の野村由利夫氏、副代表の佐野潤一郎氏が登壇。座談会形式で患者会設立の背景や自身の治療経験などについて語りました。本稿では概要をご紹介します(ファシリテーターは一般社団法人CSRプロジェクト 代表理事の桜井なおみ氏)。

野村氏

野村 由利夫(のむら ゆりお)
膀胱がん患者会(Patient Association of Bladder Cancer)代表
肺がん患者会「ワンステップしゃちほこ」代表

大学にて機械工学を専攻後、国内外の自動車部品メーカーでエンジニアとして勤務。2016年に肺がん罹患、2017年に東海地区を対象とした「ワンステップしゃちほこ」を設立。中日本呼吸器臨床研究機構やがん拠点病院と連携した活動を行う。2024年春、肺がん再発と同時に膀胱がんの診断を受ける。治療選択や優先順位の決定に苦悩した経験から、全国を対象とした「膀胱がん患者会」を設立。

佐野氏

佐野 潤一郎(さの じゅんいちろう)
膀胱がん患者会 副代表

北海道出身。創価大通信教育部をはじめ、東京女子大学・日本大学・文教大学などで教鞭をとる。現在は、環太平洋大学講師。男性がんサバイバーのオンライントーク会「男サバトーク」を主宰。2024年に妻を卵巣がんで亡くし、遺著『がんになった看護部長 病と向き合いながら生きる』を手に、全国のリレーフォーライフ会場を歩く。英米文化学会理事長

桜井氏

桜井 なおみ(さくらい なおみ)
一般社団法人 CSRプロジェクト 代表理事

大学で都市計画を学んだ後、コンサルティング会社にてまちづくりや環境教育、排出権取引や費用対効果などを担当。がん罹患後は患者・家族の支援活動を開始、現在に至る。一般社団法人 全国がん患者団体連合会(全がん連) 理事。一般社団法人CSRプロジェクト代表理事。キャンサーソリューションズ代表取締役社長。技術士(建設部門)、社会福祉士、精神保健福祉士、産業カウンセラー。

患者会が生まれた理由

桜井氏

まずは野村さん、ご自身のがんの経験から、膀胱がん患者会を作られた理由をお聞かせください。

野村氏

2024年の春に膀胱がんが分かり、同じ時期に肺がんの再発も分かりました。どちらを優先して治療するかで、とても迷いました。肺がんは9年間患者会を続けてきたのでネットワークがあり、必要な情報はすべて得られました。けれども膀胱がんについては、がん拠点病院のがん相談の窓口を巡っても、ほとんど情報が得られませんでした。だからこそ、お互いの体験を共有し、学び、歩んでいける場がほしいと考え、佐野さんと立ち上げを決めました。

桜井氏

佐野さんは、できてよかったという感じですか。

佐野氏

そうですね。膀胱がんは仲間がなかなか見つかりません。悩みを本当に打ち明けられる場があることは、とても大切だと感じています。

広がる「語り合える場」

桜井氏

2026年はがん対策基本法ができてから20年になります。患者さん中心の医療という考え方も出てきていますけども、今後はどんなことをやっていきたいですか。

野村氏

会は日本全体を対象に、主にオンラインで活動し、一部は「お茶会」として対面でも行っています。今は毎月20人ほどのペースで参加が増え、現時点で約130人が参加しています。アドバイザーの先生13人にもご支援いただいています。患者さん同士が意見交換や体験を共有する場としてオープンチャットも作りました。なかでも女性だけのセッションが活発です。

桜井氏

「シモのこと」は患者同士でも言いにくい面があります。今回、こうした話を自然にできる環境ができたのは、とてもよいことだと思います。佐野さん、今後の予定をもう少し詳しくお話しください。

佐野氏

海外からも連携に関するお話をもらっています。2026年9月には、香港で開かれる世界の膀胱がん患者団体の会合「World Bladder Cancer Patient Forum 2026」で、スピーチと市民向けの公開講座を行う予定です。

桜井氏

野村さんはいかがですか。

野村氏

がん患者さんの課題には、がん特有のものと、がんを超えた共通のものがあります。新薬の供給など、世界に共通する課題もあります。全てのがんの仲間とともに、日本として、世界として、がん患者さんがより自分らしく生きられるよう進めていきたいです。

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配信元: Medical DOC

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