自分をいたわる大切さ
編集部
治療中で特につらかった症状や経験はありますか?
鹿川さん
吐き気、嘔吐、食欲不振などが一番つらかったです。食べることが好きだったため、食事がとれない状況は過酷でした。食事時になると、同じ病室の人が食べているにおいで吐き気を催すなど、治療中は食べ物を見るのも嫌になるほどでした。食事が取れなくなり、発症前より痩せましたね。
病気前、鹿川さんが太っていたと感じていたころ
病気発症当時、食事が取れなくなり痩せた
編集部
心の支えになったものは何ですか。
鹿川さん
家族の存在です。特に私が診断された日に生まれた姪っ子の存在が大きかったです。「姪っ子に会うまでは生きなければ!」「元気になって退院しなければ!」と思いながら過ごしました。現在では姪っ子たちも成長し、愛犬の存在が心の支えになっています。
編集部
診断後、日常生活はどのように変わりましたか。
鹿川さん
日常生活は180度変わりました。病気になる前は日々慌ただしく一生懸命働いていました。しかし、診断後の入院中は不安を抱えつつも、毎日ベッドの上でのんびりとした生活でした。食事は3食提供され、寝たいときに眠れました。退院後も自宅でゆとりをもって過ごせるようになっています。仕事でもゆとりをもって子どもたちと接するようになり、病気を経て改めて自分の生き方を考えさせられました。
編集部
鹿川さんの現在の体調を教えてください。
鹿川さん
現在は4週間隔で抗がん剤治療を続けています。治療後の副作用(吐き気、食欲不振、倦怠感)はありますが、4日目ぐらいからは治まり、少しずつ普段の生活に戻ります。体調が落ち着いてからは、仕事に向けて体力をつくっています。犬の散歩のほか、ショッピングセンターなどをひたすら歩くなど、楽しみながら体調を整えています。
編集部
食事や生活習慣などで、工夫している点はありますか。
鹿川さん
胃を切除しているため、よく噛んで食べ、消化によいものを選んでいます。小分けにして1日4食にするなど、少しずつ食べるように工夫しています。あまり難しく考えず、食べたいものを食べているため、ストレスはありません。
編集部
医療従事者とのコミュニケーションで大切だと感じた姿勢は何ですか。
鹿川さん
自分の思いを正直に伝える姿勢です。どんなささいな内容でも話すようにしていました。ときには世間話をするなど、何でもない会話からちょっとした変化に気づけると看護師にいわれた経験があり、コミュニケーションは大切だと感じました。
編集部
日々の中で大切にしている姿勢があれば、教えてください。
鹿川さん
ささいな出来事でも感謝の気持ちを忘れない姿勢です。病気を経験してから、日々自分の体調がどのように変わるかわからないため、自分の気持ちを言葉に出すようにしています。
編集部
この病気について、あまり詳しく知らない人に伝えたいのはどのような内容ですか。
鹿川さん
まだまだ簡単に治癒する病気ではありませんが、現在は治療薬の開発や手術の技術が進歩し、長期生存の確率が高くなっているということです。中皮腫はアスベスト(石綿)の吸入から20〜50年程度経ってから発症するとされる病気です。専門病院や医師はまだ少ないかもしれませんが、徐々に増えてきています。
編集部
最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。
鹿川さん
「健康だから大丈夫!」ではなく、健康だからこそ自分の体をいたわってください。少しでも異変を感じたら、我慢せずに受診してください。仕事が忙しいからと後回しにしないことが重要です。自分の体は自分でしか守れません。もし病気が見つかっても一人で悩んだり、自分を責めたりしないでください。周りには、きっと助けてくれる人がいます。一日一日を大切に生きてほしいと願っています。
編集後記
ある日を境に「おなが膨らんでいく」「吐き気がする」などの症状が表れた鹿川さん。医師から告げられた原因は、数十年前に吸ってしまっただろう、アスベストでした。本体験談は、日常に潜む異変を見逃さない重要性を私たちに突きつけます。22年に及ぶ闘病を経て鹿川さんがたどり着いた境地は、自分を慈しみ、一日一日を大切に生きるというものでした。少しの違和感に耳を澄ませ、早めに受診する行動が、自身と大切な人を守る第一歩になると教えてくれました。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。

