脳腫瘍グレード別の余命
原発性脳腫瘍の悪性度(たちの悪さ)は、WHO(世界保健機関)の分類によってグレードI(グレード1)からIV(グレード4)までの4段階に分けられます。グレードが高いほど、悪性度が高く、成長するスピードが速く、周りの脳の組織に広がりやすい性質があります。
一般的に、グレードが高いほど予後(病気の経過の見通し、ここでは生存期間の目安)は良くないとされますが、腫瘍の種類や、治療の効果など、多くの要因によって大きく左右されるため、ここで示す数字はあくまで目安として考えてください。
グレードI
グレードIは良性腫瘍(おとなしい腫瘍)に分類され、手術で完全に摘出(取り除く)できれば、再発することはまれで、一般的には健康な人と変わらないくらいの寿命が期待できます。手術で完全に腫瘍を取り除くことができれば、治る可能性が高いと言えます。
グレードII
グレードIIは低悪性度腫瘍(比較的おとなしいが悪性の可能性もある腫瘍)に分類されますが、再発する可能性があり、時間が経つにつれて悪性化(たちの悪い状態になる)することもあります。治療後の平均生存期間は、腫瘍の種類や、どれだけ腫瘍を取り除けたかによって異なりますが、診断から5年後の生存率は50~70%程度と報告されています。手術で完全に腫瘍を取り除くことが難しい場合が多く、再発のリスクがあるため、完全に治すことは難しいことがあります。
グレードIII
グレードIIIは悪性腫瘍(たちの悪い腫瘍)に分類され、グレードIIよりも成長するスピードが速く、周りの脳の組織に広がりやすい性質があります。治療後の平均生存期間は、腫瘍の種類や、治療の効果によって異なりますが、診断から5年後の生存率は20~40%程度と報告されています。
完全に治すことは非常に難しく、治療の目標は、腫瘍の進行をできるだけ遅らせ、症状を和らげ、患者さんができるだけ質の高い生活を送れるようにすることです。
グレードIV
グレードIVは最も悪性度の高い腫瘍で、代表的なものに膠芽腫(こうがしゅ)があります。非常に速いスピードで成長し、周りの脳の組織に強く浸潤(しみ込むように広がる)するため、治療が非常に難しい腫瘍です。治療後の平均生存期間は12~18ヶ月程度、診断から5年後の生存率は5%未満と報告されています。
現時点では完全に治すことは非常に困難です。治療の目標は、腫瘍の進行をできるだけ遅らせ、症状を和らげ、可能な限り患者さんが質の高い生活を送れるようにすることです。
「脳腫瘍の余命」についてよくある質問
ここまで脳腫瘍の余命などを紹介しました。ここでは「脳腫瘍の余命」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
脳腫瘍を発症すると何年生きられるのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
脳腫瘍と診断された場合の生存期間は、腫瘍の種類、悪性度(グレード)、発生した場所、大きさ、どのような治療を行ったか、そして患者さん自身の年齢や全身状態など、本当に多くの要因によって大きく異なります。
この記事でご説明したように、良性腫瘍であるグレードIの腫瘍で、手術で完全に摘出できた場合は、一般的には健康な人と変わらないくらいの寿命が期待できます。一方で、悪性度の高いグレードIVの膠芽腫の場合、平均生存期間は12~18ヶ月程度と報告されています。グレードIIやIIIの腫瘍も、その種類や治療への反応によって生存期間は大きく異なります。
大切なことは、これらの数字はあくまで多くの患者さんの統計データであり、患者さん一人ひとりの状態を示すものではないということです。同じグレードの腫瘍でも、治療への効果や病気の進行のスピードは人それぞれです。
余命について、一般的な傾向をお伝えすることはできますが、正確な予測は非常に難しいことをご理解ください。最も大切なことは、担当の医師としっかりとコミュニケーションを取り、治療方針について十分に理解し、前向きに治療に取り組むことです。
脳腫瘍は完治するのでしょうか?
村上 友太(むらかみ ゆうた)医師
脳腫瘍の種類や悪性度によって、完全に治る可能性は大きく異なります。良性腫瘍であるグレードIの髄膜腫や神経鞘腫などで、手術で完全に摘出できた場合は、再発のリスクは低く、完治に近い状態を目指せる場合があります。しかし、悪性腫瘍であるグレードIIIやIVの神経膠腫(特に膠芽腫)は、周りの脳の組織に染み込むように広がることが多く、手術で完全に摘出することが非常に難しいため、現時点では完全に治すことは難しいと言わざるを得ません。脳腫瘍の治療は、日々進歩しています。諦めずに、担当の医師とともに、ご自身にとって最善の治療法を探っていくことが大切です。

