これがいわゆる一般的なパスタのゆで方ですが、ゆでる時に「あるもの」を加えると、本場イタリアのパスタさながらの味に仕上がるのだとか。そのあるものとは…ズバリ、小麦粉!
そんな新しいパスタのゆで方を提案する在バチカン日本国大使館シェフ・髙橋紘幸さんに、調理のコツをうかがいました。
※本記事は高橋紘幸著の書籍『世界をもてなす大使館シェフが教える 心をゆさぶるパスタ&洋食』から一部抜粋・編集しました。
きっかけはレシピ本の撮影
そもそもなぜパスタをゆでる時に、小麦粉を加えてみようと思ったのでしょうか。「きっかけは、レシピ本(『世界をもてなす大使館シェフが教える 心をゆさぶるパスタ&洋食』KADOKAWA)の制作にありました。本に掲載する料理の撮影のために日本に一時帰国し、キッチンスタジオでパスタを作ったのですが、なぜかイタリアで作るのとどこか違う。ペペロンチーノは作り慣れているから、余裕、余裕!と思っていたのに、予定どおりの味にならなくて…焦りました(汗)」
作り方は同じなのに、いつものような味にならない。
とくに、パスタは小麦の風味がほとんどしない。
その違いはどこにあるのか?
この時の日本滞在期間は1週間。滞在中に自信を持てる回答を得られなかったシェフは、その理由をどうしても探りたくて、日本のパスタを買い込んでイタリアに戻ったのだとか。そこから、実験の日々が続きます。そして行きついたのは、ゆでる水の硬度の違い。
「イタリアは硬水ですが、日本は軟水です。ざっくり言うと、硬水(イタリア)にはマグネシウムやカルシウムが多く含まれていますが、軟水(日本)にはほとんど含まれません。この違いがパスタの風味に影響したのだと思います。軟水にはパスタに含まれる小麦粉が溶け出しやすく、味が抜けた感じ、小麦粉の風味がなくなってしまうんです」

軟水の日本では、パスタをおいしくゆでられない!?
原因はわかったけど、となると軟水の日本にいる限り、パスタをおいしくゆでることができないのでは…?「私は日本のイタリアンやフレンチのレストランでキャリアを積みました。パスタの味の違いはイタリアに赴任して初めてわかったのですが、パスタ&洋食のレシピ本を出す以上、本場の味を再現できる方法を紹介しないわけにはいきません!」
そう問題解決に挑んだシェフが今回提案するのが、冒頭でもお伝えした小麦粉です。軟水に溶け出した小麦粉の風味を補うがごとくスプーン1杯の小麦粉を加えてゆでてみたところ、結果…大成功!
「イタリアでおいしいとされるパスタは、口に入れ、噛んだ瞬間に小麦の風味が広がります。もちろん、ソースの味わいもおいしさを左右しますが、それ以上に小麦の味がしっかりあること、麺自体がおいしいことを重要視するんですね。ここが、日本ではあまり注目されないポイントかもしれません」

軟水のミネラルウォーターと日本製のパスタを用意し、塩の量や火加減などの条件は同じにして味を比べてみました。写真奥の鍋ではパスタをゆでており、一方には小麦粉が入っています。

フライパンにオイルを熱し、ゆで汁を加えて乳化させたソースに、小麦粉あり、なしでゆでたパスタをそれぞれ投入。どちらがおいしかったか? 結果はお伝えした通り!
■おいしいゆで方の新ルール1を整理すると…
・パスタ180g(2人分)に対し、水2L、塩20g。そこに小麦粉を小さじ1杯入れる
熱により小麦粉が糊化して固まることがあるので、沸かす前に入れる。小麦粉がダマになっている場合はふるってからどうぞ。

・湯をボコボコ沸かさずに、ゆらゆらする状態でゆでる

