在バチカン日本国大使館のシェフが教える パスタをゆでる時に入れるとおいしくなる「あるもの」とは?

在バチカン日本国大使館のシェフが教える パスタをゆでる時に入れるとおいしくなる「あるもの」とは?

小麦粉の濃度とお湯の量の、意外な関係性

でも、ここでちょっと疑問が浮かびます。お湯の中の小麦粉の濃度を上げるためなら、小麦粉を入れるのではなく、少ない湯の量でゆでればいいのでは?

「じつはここからがミソなんです。たしかに小麦の濃度を上げるという意味では正解です。ただ、そもそもなぜパスタをたっぷりの湯でゆでるかというと、くっついたり折れたりするのを防ぎ、ゆらゆらと対流する湯で泳がせながら、均一にゆでるためなんですよね。
少ないお湯ならたしかに小麦の濃度は上がりますが、今度は麺に均一に火を入れることがむずかしくなります」

ゆで加減にムラがあると、おいしくなくなるのはわかるけれど、いったいどのようなデメリットがあるのでしょうか?

「食感が悪くなるのももちろんですが、均一にゆでられていないと、ソースと合わせた時にゆできれていない部分がどんどん水分を吸うんです。この場合の水分とは、野菜などからでた水分のほかに、ソース作りの際に加えるゆで汁などを意味します。結果としてソースのバランスが崩れて油分が多くなるので、油っこい仕上がりになるんです。なのでお湯の量は減らさず、小麦粉を足すというのがベストです」

■おいしいゆで方の新ルール2を整理すると…
・たっぷりのお湯にパスタ(麺)を一気に入れて、ほぐす
湯がボコボコと沸いたら、麺を一気に入れて、軽くほぐすのみ。うまみが流れ出やすくなってしまうのでパスタは絶対に折らないこと。
湯がボコボコと沸いたら、麺を一気に入れて、軽くほぐすのみ
湯がボコボコと沸いたら、麺を一気に入れて、軽くほぐすのみ / (C)高橋紘幸、難波雄史/KADOKAWA


・麺はなるべく触らない。湯で麺を“動かす”
パスタを投入して一度麺をほぐしたら、そこからは触らない。これは必要以上に麺表面の凹凸からうまみ(小麦の成分)が溶け出てしまったり、麺がちぎれたりするのを防ぐため。火加減は湯の表面がゆらゆらする程度。湯の中で麺が動くように、途中、数回に分けて軽く混ぜる。
パスタを投入して一度麺をほぐしたら、そこからは触らない
パスタを投入して一度麺をほぐしたら、そこからは触らない / (C)高橋紘幸、難波雄史/KADOKAWA


「小麦粉を入れてゆでた時と、そうでない時の味の違いは、正直に言うとパスタのソースが勝つもの、たとえばアラビアータやトマトクリーム、カルボナーラやクリームパスタなどだとわかりにくいかもしれません。でも、オイルベースのパスタなら、きっと違いがわかるはず。口に入れる瞬間にふわっと小麦の香りがしますから。ぜひ試してほしいです」

オイルベースのパスタ
オイルベースのパスタ / (C)高橋紘幸、難波雄史/KADOKAWA


文=波野海、写真=難波雄史

髙橋紘幸さん
髙橋紘幸さん / (C)高橋紘幸、難波雄史/KADOKAWA

【著者プロフィール】
髙橋紘幸
岩手県出身。1996年調理師学校を卒業。以来、フレンチやイタリアンを中心に高級店から人気店まで、国内の有名レストランで経験を重ねる。2006年からは料理長として数店舗で腕を振るった後、2023年よりイタリアへ赴任。在バチカン日本国大使館シェフを務める。2024年に開設したインスタグラムでは、「一度覚えれば一生使える」をテーマにさまざまなレシピを発信、いつもの料理が格上げされた!とたちまち話題に。さらに、2025年にはnoteを開設し、「理屈がわかる深掘りレシピ」をテーマに、さまざまな料理のテクニックを解説している。

著=高橋紘幸/『世界をもてなす大使館シェフが教える 心をゆさぶるパスタ&洋食』




配信元: レタスクラブ

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