「疲れているのに眠れない」「早く寝ようとしても目がさえてしまう」と感じたことはありませんか。実は、眠気は疲れだけで生じるものではなく、体内時計によって一日の睡眠・覚醒リズムが調整されています。眠気が起こるタイミングや、眠りにつきやすい時間帯、不眠への対処法について大迫先生に伺いました。

監修医師:
大迫 鑑顕(医師)
千葉大学医学部卒業 。千葉大学医学部附属病院精神神経科、袖ヶ浦さつき台病院心療内科・精神科、総合病院国保旭中央病院神経精神科、国際医療福祉大学医学部精神医学教室、成田病院精神科助教、千葉大学大学院医学研究院精神医学教室特任助教(兼任)、Bellvitge University Hospital(Barcelona, Spain)。主な研究領域は 精神医学(摂食障害、せん妄)。
体内時計と眠気の関係とは?「睡眠禁止ゾーン」や睡眠リズムも解説
編集部
体内時計は睡眠や眠気にどのような影響を与えているのでしょうか。
大迫先生
睡眠は疲れを回復するために欠かせないものであり、睡眠欲は三大欲求の一つです。ただし、眠気は「疲れ」の蓄積だけで決まるわけではありません。私たちの体には「体内時計」があります。これは、活動すべき時間に眠気を抑えて活動しやすくするためのものであり、体内時計があるからこそ、日中の眠気には一定のリズムが生じます。目覚めてから眠気は徐々に強まり、15時頃に一度ピークを迎えます。この眠気は昼食の影響だけではなく、体内時計による自然な変化と考えられます。
その後、夕方から夜にかけて覚醒度(目覚めやすさ)が高まり、普段の就寝時刻の2~3時間前には「睡眠禁止ゾーン(眠りにつきにくい時間帯)」と呼ばれる状態になります。この時間は体の深い部分の温度(深部体温)が最も高く、脳が活発なため、早く寝ようとしても寝つきにくくなります。やがて深部体温が下がり始めると自然に眠りやすくなります。
不眠に悩む人は「眠れないかもしれない」という不安から早めに布団へ入ることがありますが、逆効果です。かえって「眠れないまま過ごす時間」が長引いてしまいます。無理に就寝時刻を早めるのではなく、自分の睡眠リズムに合った時間に休むことが、寝つきを改善するためには大切です。
不眠症の治療について
編集部
眠れない日が続く場合は、どのように改善すればよいのでしょうか。
大迫先生
眠れない状態が続き、生活習慣を見直しても改善しない場合は、医療機関に相談することも大切です。不眠症の治療では、睡眠薬を用いる薬物療法が行われることがあります。睡眠薬には、脳の働きを調整して眠りやすい状態をつくる薬や、睡眠に関わるホルモンの働きを助ける薬などがあり、症状に応じて使い分けられます。
睡眠薬は自己判断で服用方法や量を変更せず、医師の指示に従って使用することが重要です。また、認知行動療法(考え方や生活習慣を見直して睡眠の改善を目指す治療)などの非薬物療法も効果が期待されています。ただし、認知行動療法は日本では保険適用外で、治療を受けられる医療機関は限られています。
不眠が続く場合は一人で悩まず、医師と相談しながら自分に合った治療法を選び、無理なく睡眠の改善を目指しましょう。

