横並びの「仲間意識」が崩壊寸前の地域社会を救う
2つ目は、「新しい共同体」をつくってほしいということ。かつて地域社会のつながりを支えていた年中行事や冠婚葬祭、自治会・町内会、商店街などでのつながりも弱くなって地域コミュニティーは年々細っています。多くの人が所属感を持ちにくくなり、これが孤独や孤立が社会課題化する原因の一つとなっています。
そんな中、団塊の世代は、表面的には、他者とは違うこと、個性的であることを大切にしているように見えるけれども、多くが大企業に就職して勤め上げ、皆が同じようにマイホームを求め、人並みの家族と暮らしを実現するよう、横並びと仲間意識を持ってやってきた世代でもあります。
激しい競争をしてきたように見えるけれども、平均的・標準的な姿を意識しながら、落ちこぼれたり、はみ出したりしないように、人とのつながりや良好な関係づくりに心を砕いてきた世代です。私は、団塊の世代のそうした一面が、地域コミュニティーの崩れを何とか食い止め、新たな共同体づくりに寄与しないかと期待します。
また、団塊の世代はしがらみや慣習、情緒や感覚といったことより、合理性を重視する世代でもあります。人とのつながりや連帯感が人生を豊かにし、時には困難を乗り越える支えになるということを、自らの経験を通じて合理的・客観的に評価するでしょう。そうすれば、「住み替えによって新たな共同体を手に入れる」という、欧州では一般的でありながら日本ではなかなか進まない選択も、今後はさらに広がっていくかもしれません。
これまでも人数の多さゆえに社会に大きな影響を与えてきた団塊の世代の全員が、後期高齢者となりました。この世代がこれから10年、15年、20年をどのように生きるか。どのような高齢者像を示し、コミュニティーにどのように貢献していくか、後に続く私たちは、その姿から多くのことを学ぶことになるはずです。
