「豊臣兄弟!」脚本・八津弘幸氏【インタビュー・その1】悩んだ信長像、小栗旬から「一緒に背負うから、思いっきりやりたいことを」と言われ覚悟決まる

「豊臣兄弟!」脚本・八津弘幸氏【インタビュー・その1】悩んだ信長像、小栗旬から「一緒に背負うから、思いっきりやりたいことを」と言われ覚悟決まる

放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合ほか)の脚本を担当する八津弘幸氏のインタビュー。その模様を3回に分けて紹介する。

『豊臣兄弟!』とは

豊臣秀長(小一郎/仲野太賀)を主人公に、天下人となる兄・秀吉(池松壮亮)を補佐役として支えた弟の目線で戦国時代をダイナミックに描く大河。連続テレビ小説「おちょやん」(同局)や、「半沢直樹」「下町ロケット」「陸王」(以上、TBS)などのヒット作で知られる八津氏が脚本を担当する。

「信長を救えるのは小一郎しかいない」

――「豊臣兄弟!」というタイトルの「兄弟」が、秀吉と秀長だけでなく、織田信長(小栗旬)と信勝(中沢元紀)、義弟の浅井長政(中島歩)との関係にもかかっていて、なおかつその因縁が本能寺の変の引き金にもなったというところが今作の大きなオリジナリティーになっています。脚本を執筆するうえでどの時点で、このアイデアを着想しましたか?

「信長と信勝のことを表裏として描いていこうと思ったのは、わりと初期の段階でした。ぼやっとしたイメージでしたが、執筆を進めていくうちに歯車がいい方向に噛み合っていったという感触があります。それが因縁になって本能寺の変につながるわけですが、僕も最初勉強不足で、信勝の実像については知らなくて――。本能寺の変に至る経緯をどうするか考えていくなか、スタッフとの打ち合わせで『こういう人もいますよ』と提案していただいたんです。『それは新しい。掘り下げていったらもっと良くなるのではないか』ということになり、その場にいた皆さんと方向性を共有して、導かれるように書き進めていきました」

――豊臣兄弟と対比して描かれた、信長と信勝・長政との関係に込めた思いをお聞かせください

「大前提として、まず豊臣兄弟を魅力的に描きたいということがあります。どうしたらできるか考えたときに、たとえば、僕は弟とすごく仲がいいんですが、周囲には『最近連絡していない』とか『腹立つ』というような兄弟もいる。でも、そんな人たちも、できれば仲良くしたいと思っているなという印象を受けるんです。家督争いで殺し合うこともある戦国時代の兄弟の間でもそういう気持ちはあったと思うし、なかでも秀吉と秀長は仲のいい兄弟として象徴的な存在です。どちらかと言うと2人とは対照的な人たちをぶつけることで、彼ら豊臣兄弟から影響を受けてどう変わっていくのかを描くことを1つのテーマにしたいと思いました。

特に、信長と信勝は大きな要素としてちゃんと描きたかった。第27回(12日放送)で本能寺の変の直前、信勝に対してのわだかまりや苦しみをひきずる信長は、信勝の息子である信澄(緒形敦)による毒殺未遂事件で、さらに深く心の傷をえぐられてしまいます。そんななか、信長を救えるのはもう小一郎しかいないとずっと思っていました。小一郎が明かした秀吉への思いや、並外れた才覚を備えた兄を持つ弟、という立場で推察した信勝の思いを聞いていたからこそ、信長は燃え盛る本能寺の中で、信勝の幻影を見ることができた。信勝が自分を助けてくれた、もしかしたら許してくれたのかもしれないというような、1つの解をそこに表せればと思った次第です」

――やはりあそこで信長が最後救われた気持ちに…

「そうですね。一瞬救われた気持ちになって、『我らの一生、ろくなものではござりませんでしたな』と言う信勝に対して、有名な『是非もなし』を信長が自身に向けた言葉として言わせ、人生に悔いはないと示したかったという感じです」

配信元: iza!

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