「父は殴る蹴る、母はスピリチュアル」壮絶な家庭環境を生き抜いた元鈴木さんが、それでも「母」になるまで

「父は殴る蹴る、母はスピリチュアル」壮絶な家庭環境を生き抜いた元鈴木さんが、それでも「母」になるまで

サポートが得意な夫に頼りながら育児

元鈴木さん――ADHD特性があると育児や仕事でも困りごとが発生しますよね。

元鈴木さん:予約を取るのが苦手です。美容室の予約ですら取るのが苦痛なので、いつも電話してすぐ行ける美容室でないと行きません。最近だと娘の耳鼻科の予約を取らねばならなかったのですが、夫にやってもらいました。ほかにも予防接種など、子ども関係のスケジューリングは夫に担当してもらっています。

また、産後は夫が多忙でワンオペ育児でした。ファミサポやベビーシッターを利用すれば負担が減っていたはずなのですが、そういうサービスを利用するには事前の手続きが必要です。2日、3日先のことなんてわからないと思い利用できませんでした。目の前のことで精一杯で、段階を踏んで申請手続きをすることや、先々の予定を立てることが苦手なんです。数年間は産後うつ状態が続いてとてもつらかったです。

でも、その頃ちょうどコロナ禍に突入して夫の仕事がリモートになり、夫が育児に協力できるようになって助かりました。

仕事の面では数字が苦手なので苦労しました。経営を始めてすぐは「利益が出ていればオッケー」みたいなどんぶり勘定でやっていたのですが、やはりそれでは問題があるなと。私はいいものを作れるし、利益もあげられるし、セールスもできるのですが、組織としての成長には右腕が必要だと感じました。それで、大手M&A仲介を通じて企業のグループ傘下に入る決断をしたんです。

――そのときどきで、周囲の方の手を借りながら直面した困りごとに対処してきたんですね。

元鈴木さん:人付き合いは苦手ですし、今も困ることは多いです。でも仕事では、得意なところを遺憾なく発揮できているのでみなさんに感謝しています。家庭では夫のサポートがなければとてもじゃないけど回らない。私、夫じゃなかったら子どもは難しかったと思います。

【大橋茉莉花】

1988年生まれ。獨協大学外国語学部を卒業後、アルバイトなどしながら日銭を稼ぐ日々をへて、26歳でイベントコンパニオンに転身。ウェブの美容ライターとして書いたコルセットに関する記事をきっかけに29歳の時にAlyoを設立。ECサイト『Pinup Closet』でコルセットブランド『Enchanted Corset』、アパレルブランド『CINEMATIQ』などを運営

<取材・文/姫野桂 撮影/山川修一>

【姫野桂】
フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei



配信元: 女子SPA!

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