「今日の晩ごはん、何にしよう」
忙しい毎日の中で、そんなふうに考える瞬間は、1日に何度もあるかもしれません。「食育」と聞くと、子どもの好き嫌いや栄養バランスの話を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
でも実は今年、この「食育」の考え方が20年ぶりにアップデートされました。日々ご飯のことを考えている私たちにとって、実は結構見過ごせない変化なんです。
私自身、農林水産省の食育推進評価専門委員会で委員を務めてもいますので、今回は農林水産省にも話を伺いながら、中身をわかりやすくお届けします。
なぜ今、食育が変わったの?
食育基本法ができたのは20年前。当時は「メタボ対策」や「子どもの食習慣」など、どちらかというと"健康"が中心のテーマでした。
ですが今、私たちの食卓は、想像以上に生産の現場から遠くなっています。スーパーやコンビニで、いつでも欲しいものが手に入る便利さの裏で、「これがどう作られて、どう届いているのか」を考える機会は、確実に失われつつあります。忙しい毎日の中で、タイパやコスパを重視して食事を選ぶこと自体は、決して悪いことではありません。ただその感覚が広がるほど、生産の現場との距離は開いていきます。
一方で、国内の農業や漁業の現場は、決して盤石とは言えません。このままでは、「安定して食べ物が作られ続ける」という、私たちが当たり前だと思ってきたことが、当たり前でなくなってしまうかもしれない。そんな危機感が、今回の改正の背景にあります。
だからこそ、食育の目的に、健康だけでなく「食料安全保障」、つまり「これからも安心して食べ続けられる仕組みを守ること」が加わりました。今回の改正は、いわば"食育のアップデート"。子どもだけでなく大人も、健康のためだけでなく社会の仕組みとしても、食について考え直そうという転換点なのです。
ここからは、生活者目線で知っておきたい3つのポイントを紹介します。
その値段、実は結構ギリギリかもしれない
スーパーに並ぶ野菜や卵、お肉。夕方、疲れた頭で特売品を選びながら、その値段が「なぜその値段なのか」まで考える余裕は、正直あまりないかもしれません。
実は今、生産から流通、販売までの各段階でどれくらいコストがかかっているのかを「見える化」しようという取り組みが進んでいます。私たちが普段何気なく手に取っている食べ物の値段の裏には、生産を続けるために必要な、ぎりぎりの努力が隠れていることも少なくありません。
安さだけで選ぶことが悪いわけではありません。かくいう私も、値段だけを見て買い物カゴに入れてしまうことがほとんどです。ただ、「この値段の裏に何があるんだろう」と、ふと立ち止まって考えてみる瞬間があってもいいのかもしれません。

