これは、結婚も視野に入れていた彼とのお話です。穏やかな彼と一緒にいる時間は心地よかったものの、気づけば私ばかりが話していることもありました。それでも、いつもほほ笑みながら受け止めてくれる彼の姿に、私は落ち着いたやさしさを感じていたのです。ところが、そんな2人の関係はある日、思いもよらない形で崩れてしまいました。
「安定」と「安心」は違う
彼は付き合う前から口数の少ない人でしたが、決して冷たい人ではありません。私が「今日、仕事どうだった?」と尋ねると、「忙しかったよ」と短く答えながら、ほほ笑んでコーヒーを差し出してくれるような人でした。
そうした仕草から、彼のやさしさが伝わってきました。ただ、その一方で「今度どこかに行きたいね」と誘っても、彼は「いいね」とやわらかく返すだけ。具体的な計画を立てるのは、いつも私の役目でした。
穏やかな関係ではありましたが、「この先もずっと私が引っ張っていくのかな」と、物足りなさを感じるようになっていったのです。
きっかけは過去の恋愛話
そんなある日、私は彼のことをもっと知りたいと思い、お互いの過去の恋愛について話題にしました。会話の中では笑い合う場面もあり、彼の様子もいつもと変わりません。
その日は、これまで知らなかったお互いの一面に触れられた気がして、心地よい余韻のまま早めに眠りにつきました。
しかし翌日、私のもとに届いたのは「僕と君は価値観が違うと思った。別れてほしい」というメッセージでした。あまりにも突然のことで、私はすぐには受け止められません。慌てて電話をかけましたが、彼は出てくれませんでした。

