生きづらさを抱えたまま母になった人にインタビューしていくこの連載で今回話を聞いたのは、大きなポケットが付いたワンピースや体のラインを綺麗に見せるコルセットなど、女性の悩みを解決するアパレルとコルセットをECサイト『Pinup Closet』で展開する株式会社Alyoの取締役社長・元鈴木こと大橋茉莉花さん(38歳・@Motosuzukisan)。前編では虐待サバイバーとしての過去や発達障害特性の困りごとなどを聞いた。後編ではより深く、育児についてインタビューをした。
まっとうな愛情を知っている夫とだから育児をできる
――虐待サバイバーの方は自分が適切な育児をされていないので、我が子の育て方がわからないと感じたり、家族というものに安心感をなかなか得られなかったりすることがあると聞きます。元鈴木さん:私がそうならなかったのは、やはり、きちんとした愛情を知っている夫がいたというのが一番大きいです。夫と2人でいた時間で愛情についてたくさん学ばせてもらいました。育て直すかの如く、夫は忍耐強く私に愛情を教えてくれたと思います。良きパートナーに出会えてとてもラッキーだったと思います。
――虐待サバイバーという苦しさを抱えながら自分が親になるというのはどんな気持ちでしたか?
元鈴木さん:私、自分の親のせいで自分が親になることをあきらめたら損だと思ったんです。生きることを諦めようか悩んだ時と同じように、人生の大きな決断の理由が他者にあるなんて理不尽だと感じました。じゃあちゃんと育てられるのか? と思ったとき、私はまっとうな愛を知っている夫から学んできたから大丈夫だと。
でも、娘と接していてどうしても感情がいっぱいいっぱいになってしまったときは、夫に娘を頼んで自室でクールダウンすることもあります。そして、「さっきは怒ってごめんね、ママがいけなかった」みたいにめっちゃ謝ります。親が完璧な存在ではないことも子どもには教えたいので。
――元鈴木さんのご両親は謝ってくれなかったんですか?元鈴木さん:謝らなかったです。彼らは自分を律して生きていなかったと思うので、私は自分を顧みることを続けています。親は最高の反面教師です。なので、誰に対しても「ありがとう」と「ごめんなさい」は言いますね。
――妊活や不妊治療をされた末の妊娠ですか?
元鈴木さん:1年半くらい、妊活をしました。そんなにすぐできるものではないとそのとき思いました。妊活中、高度異形成(子宮頸がんになる一歩手前の病変)で、円錐切除術を受けたんです。その直後に妊娠がわかったので、こいつは耐え抜いた立派な受精卵だと思いました。でも、8か月の早産になってしまったのですが。
――早産だと産後の不安も大きかったのではないですか?
元鈴木さん:1000gほどで生まれたので、こんなに小さく産んでしまって申し訳ないと、初めて抱っこしたときは泣いてしまいました。そして、重度の産後うつになってしまったので、「可愛い、可愛い」と言って育ててあげられなかったことはすごく後悔しています。
女性が生きやすくなる服を作ったのは父親の影響
――今はご両親とはどんな関係ですか?元鈴木さん:必要なときは会っています。先日、施設に入っている祖母がもう先が長くないと言われ、娘を連れて会いに行ったときは母も一緒でしたが、そういうときにしか会わないですね。父には何年も会っていませんし、子どもを見せてすらいないです。
――前編ではお父さんから「女は勉強なんてするな」と言われたと語っていました。元鈴木さんは今、女性がより良く生きられるようになる服を作っていますよね。女性が生きやすくなる服を作ろうと思ったのは、ご自身が育ってきた家庭環境の影響も大きいのでしょうか?
元鈴木さん:思えばそこに行き着くのかなと思います。女性だけ服のポケットが小さいとか不平等ですよね。ならば、男性と同じものをつけようと思ったのですが、それも少し違うな、誰もが羨むデカいポケットをつけちゃえ!という感じでした。
――女性向けの商品なのに、元鈴木さんが作るものや作ろうとしているものにSNS上で文句を言う男性もいますよね。
元鈴木さん:うちの父親と重なる点がたくさんあります。「俺が上だぞ」という姿勢が基本で、建設的な会話が一切できない。そういった男性が私にリプライをくださると、まるで実家に帰ったような気持ちになります(笑)。

