主体性を持ち、人に迷惑をかけなければあとは自由でいい
――元鈴木さんはワーキングマザーとしてどんな日常生活を送っているのですか?元鈴木さん:華やかな生活を送っていると思われがちなのですが、ほとんどが会社と家の往復です。娘は性格が私にそっくりです。娘は生まれつき車椅子ユーザーなのですが、最近少しずつ歩けるようになってきました。
――元鈴木さん宅の子育て方針などはありますか?
元鈴木さん:主体性を持ってくれて、人に迷惑をかけなければ、あとは自由にしてくれていいかなという方針です。お箸の持ち方やマナーなどは教えますが、勉強しまくって天才になれよ、みたいなことはまったく思っていません。
あとは私が経営する上で数字が苦手で苦労したので、数字と英語だけ勉強してね、と。私は英語を勉強したおかげで今があるので。英語を勉強しないと……外貨が稼げませんから。
――元鈴木さんはアパレルブランドを経営していて流行に敏感ですし、「娘にはこんな服を着てほしい、こんな服を着てほしくない」と思ったりしますか?
元鈴木さん:娘に着てほしくない服やファッションは特にないですね。本人の意思を尊重したいし、成人したら何を着たっていいと思います。さすがにお尻の谷間が見えるようなファッションが流行ってそれを着たいと言ったら考えてしまいますが……。
娘は最近ギャルになりたいと言っているので、「どの服がギャルっぽいかな?」と言いながら買いに行ったりはしますね。最近は食べ物柄やフリフリの服も好きだと言っています。この間はちいかわのワンピースを買いました。
でも、残念ながら女性の車椅子ユーザーというだけで弱そうに見えて痴漢などの標的にされてしまうこともあるので、強めなファッションをしてくれたら嬉しいです。
年頃の娘にブラジャーを買わない親もいますよね。私の会社ではコルセットも作っているのですが、「親に見られないようにコルセットを付けます」と言っている若い女性がいました。「えっ? どういうことですか?」と聞くと、「親に知られたら女を出していると嫌がられる」と。子どもの肉体的な面も含めた成長を認められない親もいるのだと知りました。うちでは時期が来たら、一緒に選んであげようと思っています。
完璧でなくても支え合って暮らしていける
――仕事やプライベートにおいて、元鈴木さんの今後の目標を教えてください。元鈴木さん:仕事では、Made in Japanでコルセットを作ったり、厳しい日本規格のアパレルを展開しているので海外での販路を増やしたいです。現地の小売店やパートナー企業さんともご縁が欲しいですね。
プライベートでは、夫が多忙になり今度は私が以前よりも子どもの生活にコミットすることになってきたので、チームらしく家族を回していきたい。3人で生活をもっと楽しくしたいです!
――生きづらさを抱えたままお母さんになった方や、なろうとしている方へ向けてメッセージをお願いします。
元鈴木さん:若い女性経営者と話すと、いつ産もうか勇気が出ないと皆様言います。当たり前ですよね。事業抱えて乳飲み子抱えるのは、間違いなく苦行です。実際私も産後うつになるくらいにはしんどかったですが、苦難を前にした時にどんな決断を下すかが大切なんだと思います。
私は、育児と事業のプレッシャーから産後うつになった時、このままでは私のせいで家族の笑顔が減ってしまう…と考えたことも大手企業の傘下に入った経緯としてありました。つまり、大小あれどいつだって家族の未来を担う選択権があなたにはあるということ。それを行使するもしないもあなた次第ということです。
保護者としての責任を持ち、人生で何を大切にしたいか考えて、自分で決定すること。これができるなら、完璧でなくても子どもや、いるならば夫とお互い支え合って暮らすことができる。私はそう信じてます。
【大橋茉莉花】
1988年生まれ。獨協大学外国語学部を卒業後、アルバイトなどしながら日銭を稼ぐ日々をへて、26歳でイベントコンパニオンに転身。ウェブの美容ライターとして書いたコルセットに関する記事をきっかけに29歳の時にAlyoを設立。ECサイト『Pinup Closet』でコルセットブランド『Enchanted Corset』、アパレルブランド『CINEMATIQ』などを運営
<取材・文/姫野桂 撮影/山川修一>
【姫野桂】
フリーライター。1987年生まれ。著書に『発達障害グレーゾーン』、『私たちは生きづらさを抱えている』、『「生きづらさ」解消ライフハック』がある。Twitter:@himeno_kei

