地主じゃないのに「この田んぼ貸すよ」、契約書も許可もなし…いまも地方に残る「ヤミ小作」の実態

地主じゃないのに「この田んぼ貸すよ」、契約書も許可もなし…いまも地方に残る「ヤミ小作」の実態

●「貸す」と言った本人が地主ではなかった

さらに複雑なケースもある。若手農家はこう打ち明ける。

「『うちの農地を貸すよ』とBさんに言われて喜んだものの、実際にはBさんの土地ではありませんでした。Bさん自身が借りている農地で、地主であるCさんに無断で“又貸し”していたんです。こういう話は往々にしてあるのです」

しかも、その賃借関係自体がヤミ小作だったというケースもある。

「口約束だけで何十年も貸し借りしていることも多く、誰が、いつから、どの土地を借りているのか記録が残っていません。新しく農業を始める立場としては、本当に厄介です」

農業委員会の許可制度は、こうした無断の又貸しや権利関係の混乱を防ぐうえでも重要な役割を果たしている。

こうした問題は決して特殊なものではなく、全国どこでも起こりうるという。

●違法な貸し借りは刑事罰の対象にも

そもそも、農地法に違反した農地の貸借や売買は、刑事罰の対象になりうる。

農水省経営局農地政策課は取材に対して、次のように説明する。

「農地法に反して貸借をした場合、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金を科される可能性があります。ただ、いわゆるヤミ小作は行政から隠れておこなわれていることですので、その実態について正確な現状を把握することは難しいです」

「昔からつづいてきた」「これまで大丈夫だった」という理由で済ませられる話ではない。

親族が農地を所有している家庭では、一度、賃借関係が曖昧になっていないか確認しておきたい。

長年の慣習が、相続のタイミングで思わぬトラブルへ発展する可能性もあるからだ。

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