思い切って、口にしてみた
ある日、同僚のひとりがB子に直接聞いてきました。
「そういえばあんまり聞いたことないけど、B子さんのところは? 旦那さん、どんな感じ?」
一瞬迷って、B子は口を開きました。
「えっと……うちの夫は……」
休憩室が、シーンとしました。
「え、どういうこと」
「それ普通じゃないよ」
「うちの旦那と交換したい」
「羨ましすぎる、それ」
笑いと驚きが混ざった声が一気に返ってきて、B子は少し面食らいました。
ずっと言い出せなかったのに、言ってみたら全員に羨ましがられた。それ程までに当たり前ではなかったのだと、そのとき初めて実感したそうです。
「?」の一文字で、十分だった
帰り道、B子はスマホを取り出して夫にLINEを送りました。
「今日、職場であなたの話をしたら全員に羨ましがられた。いつもありがとう」
しばらくして返ってきたのは、「?」の一文字だけ。
何が? という意味なのか、照れているのか、本当に意味がわからないのか。どれかはわからないけれど、B子はそのやりとりにくすっと笑いました。

