近年は、腸内細菌と睡眠との密接な関わりが注目されています。今回は、最新の研究で判明した「深い眠りを作ってくれる腸内細菌」について解説します。ぜひ最後まで読んでみてください。疲れが取れない原因は「腸」にも?
そもそも、なぜ寝ても疲れが取れないのでしょうか。その1つの原因は、「ノンレム睡眠のステージ3」、いわゆる「深い睡眠」の時間が足りていないからかもしれません。睡眠中、私たちの脳や体はただ休んでいるわけではありません。特に深い睡眠(ノンレム睡眠ステージ3)の時には、以下のような重要な働きが行われています。
・体のメンテナンス:組織の修復や細胞の再生を促す「成長ホルモン」を多く分泌
・バリア機能のアップ:免疫反応や炎症を調節するサイトカインが生産される
・脳のクリーニング:日中の記憶を整理して定着させたりする
つまり、この深い睡眠の時間が短いと、体がしっかり回復できず「疲れが取れない……」という状態に陥りやすくなるのです。そして驚くべきことに、この深い睡眠の長さに「腸内環境」が関係していることが分かってきました!
深い眠りを作るカギ「アリスティペス」とは
睡眠と腸内環境の関係について、日本の研究チームが興味深い報告をしています。この研究では、ポータブル脳波計(EEG)を使った客観的なデータで睡眠をしっかり測定しました。(※)その結果、特定の腸内細菌が多い人ほど、深い睡眠の時間が長くなる傾向が判明したのです。そのカギとなる腸内細菌は「Alistipes(アリスティペス)」と「Sellimonas(セリモナス)」の2種です。
アリスティペスはノンレム睡眠ステージ3(最も深い睡眠)、セリモナスはノンレム睡眠ステージ2との関連が示唆されました。研究結果をまとめると、以下のようになります。
・腸内にアリスティペスが多い人は、ノンレム睡眠ステージ3(深い睡眠)の時間が長くなる傾向がある。
・腸内にセリモナスが多い人は、ノンレム睡眠ステージ2の時間が長くなる傾向がある。
・年齢や性別などの影響を調整しても、これらの細菌と睡眠ステージには有意な関連が見られた。
これらの腸内細菌は、睡眠の質と関連する可能性があると考えられています(ただし本研究は観察研究であり、因果関係の証明ではありません)。

