人工肛門(ストーマ)には一時的・永久的の2種類があります。ストーマが必要になる代表的な病気について医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「人工肛門(ストーマ)」が必要になる病気・疾患はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
人工肛門(ストーマ)とは?
人工肛門(ストーマ)とは、病気や怪我などが原因となり手術によって腹部に作られる、便を体外へ排出するための開口部のことです。ストーマの主な目的は、直腸や肛門が適切に機能しない、または治療のためにバイパスする必要がある場合に、便を安全に体外へ排出することです。この手術では、小腸または大腸の一部を腹部の表面に引き出します。自然な肛門とは異なり、ストーマには括約筋がないため、便の排出を意図的にコントロールすることはできません。そのため、ストーマには、便を溜めるためのパウチと呼ばれる装具を装着して生活します。今回はストーマについて、その種類や原因、ストーマトラブルの対処法について徹底解説をしていきます。
人工肛門(ストーマ)の種類
一時的ストーマ
一時的ストーマは、病気や手術によって影響を受けた腸の一部を休ませ、治癒させるために、一時的に便の流れを別の経路に変える目的で外科的に作られます。これは、一時的なバイパスとして機能します。一時的ストーマが作られる一般的な医学的な理由としては、手術で繋ぎ合わせた腸の部分(吻合部)を保護し、漏れを防ぐこと、または腸閉塞を解消するために便の流れを閉塞部位から迂回させることなどです。一時的ストーマは、肛門に近い直腸がん、炎症性腸疾患、腸閉塞、またはその他の腸の手術後に、腸の回復を促すために作られることがあります。病状や手術の目的によって、結腸ストーマや小腸ストーマが選択されます。一時的ストーマを閉鎖するかどうかの判断は、手術部位の治癒状態や患者さんの健康状態に基づいて行われます。一般的には、手術後または炎症が治まった後、数週間から数ヶ月(通常は3〜12ヶ月)の期間を経て、ストーマ閉鎖の手術が行われます。
永久的ストーマ
永久的ストーマを造設する理由は大きく分けて2つあります。1つ目は直腸や肛門を完全に切除した場合で自然な排便経路を再建することができない場合。2つ目はお腹の中にがんがばらまかれた状態(腹膜播種)を起こしている場合に、緩和的治療として予防的に永久的ストーマを造設する場合です。永久的ストーマは、直腸がんの手術で肛門を温存できない場合、大腸と直腸を完全に切除する必要がある炎症性腸疾患の場合、または末期大腸がんの治療として造設されます。まれに、良性の病気であっても永久的ストーマが必要になることもあります。根治手術を行う場合の一時的ストーマと永久的ストーマの選択は、多くの場合、肛門機能を温存または再建できるかどうかにかかっています。肛門括約筋は便の失禁を防ぐ上で非常に重要な役割を果たしており、これらの筋肉を切除または機能不全にする必要がある場合は、永久的ストーマが選択されます。

