福岡県うきは市の農家で梨5000個(約200万円分)が盗まれる被害があったと報じられました。
TVQ九州放送(7月21日)などの報道によると、被害が発生したのは7月16日から17日にかけて。取材に答えた農園の男性によれば、数日後に収穫を控えた幸水の木70本のうち50本分、およそ5000個がなくなっていたといいます。
この農園は昨年も梨約6500個が盗まれたといい、今年は柵や人感センサーの設置なども行ったものの、被害は防げませんでした。取材に対して、農園の男性は「梨はもう辞めます」と苦しい胸の内を明かしました。
SNSでも話題となり、武井壮さんも「許せない犯行」と厳しく非難しました。
警察は窃盗の疑いで捜査していますが、盗んだ人が捕まった場合、どれ位の量刑が予想されるのでしょうか。一般論として整理します。
●同じ「果物泥棒」でも結論は分かれる
果物泥棒は「窃盗罪」(刑法235条)にあたります。法定刑は10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金です。
言い渡される刑が3年以下なら執行猶予が付く可能性がありますが、3年を超えると猶予は付けられません(刑法25条1項)。
逆に3年以下の言い渡しでも、執行猶予がつかない「実刑」となることも、もちろんあります。
過去には、たとえばシャインマスカット31房(時価約4万2000円)を夜間に切り取った事案では、懲役1年6月、執行猶予3年でした(長野簡裁令和2年(2020年)11月24日)。
一方、実行犯2名〜3名が組織的・計画的に夜間に車で畑を回り、桃や梨約3800個(時価約148万円)を盗んだ事案があります。前科がなくても懲役2年8月の実刑でした(甲府地裁令和5年(2023年)4月26日)。ただし、このケースでは不法残留の罪も併せての判決です。
●「被害弁償」されたかが量刑上大きな事情となる
今回の約200万円は、この甲府地裁の事案を上回ります。組織的・計画的な犯行と認定されれば、実刑となる可能性は低くないと考えられます。
窃盗罪の場合、実務上は被害弁償ができているかどうかが、実刑か執行猶予かを大きく左右します。
農作物の窃盗のようなケースでは、被害弁償は金銭で行われる必要があるでしょう。農作物は転売されると現物が戻りませんし、現物が返還されてももはや売り物にならず、廃棄せざるをえないからです。
先にあげた甲府地裁令和5年の事案でも、盗まれた果物の一部が戻ってきましたが、売り物にならず廃棄され、実効的な被害回復がないと評価されました。

