骨粗しょう症は、骨折して初めて見つかることも少なくありません。「できれば検査でそのリスクを知っておきたい」という人は多いのではないでしょうか? 検査では何を調べ、どのような人が受診を勧められるのか——。骨密度検査の流れや受診の目安、気になる費用の考え方について、こごた整形外科クリニック院長の佐藤先生に聞きました。
※2026年6月取材。

監修医師:
佐藤 諒(こごた整形外科クリニック)
2011年3月、岩手医科大学医学部卒業。岩手県立大船渡病院初期研修医。岩手医科大学医学部 救急医学講座 岩手県高度救命救急センター、東北労災病院整形外科、佐々木整形外科などを経て、2022年3月にこごた整形外科クリニックを開業。現在は院長を務める。日本専門医機構認定整形外科専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本整形外科学会認定スポーツ医、日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医、日本整形外科学会認定リウマチ医、医学博士、日本リハビリテーション医学会臨床認定医、日本医師会認定産業医。
骨粗しょう症の検査とは?
編集部
近年、骨粗しょう症の患者さんが増えていると聞きました。
佐藤先生
はい、近年は高齢化の影響もあり、骨粗しょう症の患者数は増えています。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版」によれば、その数は国内で1590万人と推定されています。これは人口の約13%に当たります。骨粗しょう症は決して珍しい病気ではなく、とても身近なものだと分かります。
編集部
骨粗しょう症の検査では、まず何をするのでしょうか?
佐藤先生
骨粗しょう症の検査で中心になるのは、骨密度検査です。測定方法はいくつかありますが、診断の基本とされるのがDXA(デキサ)法で、腰椎や大腿骨近位部の骨密度を測定します。検査自体はベッドに横になるだけで、強い痛みはなく、短時間で終わることがほとんどです。
編集部
骨密度検査だけで診断するのですか?
佐藤先生
いえ、骨密度検査はとても重要ですが、骨密度の数値だけで診断が決まるわけではありません。実際には医師の問診のほか、背骨の骨折が隠れていないかを見るためにX線(レントゲン)検査を行い、その結果と組み合わせて診断されます。
編集部
診断の基準があれば教えてください。
佐藤先生
骨がもろくなっていることが原因で起きる骨折を脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)といいます。背骨や股関節に脆弱性骨折がある場合はすぐに骨粗しょう症と診断されます。その他の部位(肋骨や手首など)に脆弱性骨折がある場合には、YAMが80%未満のときに骨粗しょう症と診断されます。
編集部
YAMとは何ですか?
佐藤先生
若年成人平均値の略です。主に20〜44歳の健康な成人の骨密度の平均を100%としたとき、測定を受けた人の骨密度が何%に当たるかを示した数値をYAMと呼びます。
編集部
脆弱性骨折がなかった場合は、骨粗しょう症ではないのでしょうか?
佐藤先生
脆弱性骨折がなかった場合には、「骨密度がYAMの70%以下」など、規定の条件を満たすと骨粗しょう症と診断されます。
編集部
そのほかにも、骨粗しょう症と診断されたときに行う検査はありますか?
佐藤先生
カルシウム代謝や二次性骨粗しょう症の原因を調べる血液検査を行うことがあります。どちらも治療法を決定する際に必要な検査です。骨粗しょう症の病態はいくつもあるため、このような検査を行い、一人ひとりに適した治療薬を選択する必要があるのです。
受診が推奨されるのはどんな人? 費用目安は?
編集部
骨粗しょう症の検査を受けたほうがよい人の特徴を教えてください。
佐藤先生
まず意識したいのは、閉経後の女性です。女性ホルモンには骨を健康に保つ働きがあり、閉経で分泌が減るため、リスクが高まるのです。
ほかにも痩せ型の人、運動不足の人、喫煙や飲酒の習慣がある人、ステロイドを服用していたことがある人、関節リウマチを発症している人、過去に骨折したことがある人も、男女を問わず骨粗しょう症のリスクが高いとされています。
編集部
骨粗しょう症は遺伝するのですか?
佐藤先生
遺伝的な要因はあり、特に両親のどちらかが骨粗しょう症と診断されている場合は、発症リスクが高まるとされています。ただ、遺伝以上に発症を左右するのは生活習慣です。偏った食生活や運動不足、日焼けを極端に避ける生活などは、骨を弱らせる要因になります。親子では食生活や運動などの生活習慣が似やすいため、「親が骨粗しょう症なら子どもも発症しやすい」といわれる面もあるのです。
編集部
自治体でも骨粗しょう症の検査が行われていると聞きました。
佐藤先生
40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳の女性を対象に骨粗しょう症の簡易検査が行われています。一部の自治体では男性も検査を受けられますので、気になる人は、居住地の自治体窓口に問い合わせてみてください。
編集部
男性も検査を受けたほうがよいのでしょうか?
佐藤先生
先ほど挙げたリスクは男性にも当てはまります。特に高齢の人、ステロイドを長く使っている人、痩せている人、喫煙や多量飲酒がある人、関節リウマチなどの持病がある人は注意が必要です。
編集部
検査費用の目安について教えてください。
佐藤先生
医師が骨粗しょう症の疑いがあると診断した場合には、保険診療としてDXAによる骨密度検査を受けられます。保険診療の場合、3割負担で約1500円が目安です。実際には初診料・再診料や、必要に応じてX線検査、血液検査が加わるため、総額はもう少し上がることがあります。
自治体の骨粗しょう症検診は、地域によって低額または無料で受けられる場合もあります。ただし、自治体の検診はスクリーニングを目的としており、病院で行うものに比べて簡便な傾向があります。精査したい場合には医療機関を受診するとよいでしょう。

