心不全は、心臓の構造や働きの異常によって、息切れやむくみ、体重増加、疲れやすさなどが生じる状態です。
心不全の診断は、症状だけでなく、身体所見をはじめ血液検査や心エコー検査、胸部X線検査、心電図検査などを組み合わせて確認します。
この記事は、心不全の検査の種類や内容、検査を受けられる医療機関を解説します。

監修医師:
居倉 宏樹(医師)
は呼吸器内科、アレルギー、感染症、一般内科。日本呼吸器学会 呼吸器専門医、日本内科学会認定内科医、日本内科学会 総合内科専門医・指導医、肺がんCT検診認定医師。
心不全の診断に必要な検査

心不全の検査では、心臓の働きや身体に水分がたまっていないかを確認します。ここでは、心不全の基本と検査の目的を解説します。
心不全とは
心不全とは、心臓の構造や働きの異常によって、息切れ、むくみ、疲れやすさなどの症状があらわれる状態です。一つの病名というより、さまざまな心臓病の結果として起こる状態を指します。
原因には、心筋梗塞や狭心症、高血圧、心筋症、弁膜症、不整脈、先天性心疾患などがあります。心臓の収縮する力が弱くなる場合だけでなく、心臓が硬くなって血液を十分に取り込めなくなる場合もあります。
心不全では、全身に血液が届きにくくなるだけでなく、肺や足などに水分がたまりやすくなります。そのため、息切れやむくみ、体重増加、疲れやすさなどの症状があらわれます。
心不全が疑われる症状
心不全では、次のような症状がみられることがあります。
息切れ
むくみ
体重増加
疲れやすい
動悸
横になると息苦しい
夜間に息苦しくて目が覚める
尿量の減少
食欲低下
特に、息切れや足のむくみは心不全でみられやすい症状です。短期間で体重が増える場合は、身体に水分がたまっているサインになることもあります。
心不全の検査の目的
心不全の検査には、いくつかの目的があります。
1つ目は、心不全があるかを確認することです。2つ目は、心不全の原因や重症度を調べ、治療方針を決めることです。また、そのほかにも腎機能や貧血など治療に関わる全身状態でないかを確認します。
心不全は、原因によって治療内容が変わります。血液検査や画像検査、心電図検査などを組み合わせることで、心臓の状態を総合的に評価します。
心不全の血液検査

血液検査では、心臓への負担や全身の状態を確認します。ここでは、心不全でよく使われる血液検査を解説します。
BNPとNT-proBNP
BNPとNT-proBNPは、心臓に負担がかかったときに増えやすい血液検査項目です。心不全が疑われる場合、診断の補助や重症度の評価に役立ちます。
心臓に負担がかかると、心臓の筋肉からBNPというホルモンが分泌されます。NT-proBNPは、そのBNPが作られる過程で一緒に血液中へ出てくる物質です。どちらも心臓への負担を反映しやすいため、心不全の評価でよく使われます。
ただし、BNPやNT-proBNPの値だけで心不全と診断するわけではありません。年齢、腎機能、肥満、心房細動などによって数値が変わることがあるため、症状や診察所見、心エコー検査、胸部X線検査などと併せて判断します。
そのほかの血液検査項目
心不全の検査では、BNPやNT-proBNP以外にも、全身状態を確認するための血液検査を行います。
主な項目には、次のようなものがあります。
腎機能
肝機能
電解質
貧血(Hb)
炎症反応
甲状腺機能
血糖値
HbA1c
脂質
心不全は、心臓だけでなく腎臓や肝臓に影響が出ることもあります。薬の選択や利尿薬の調整の際は、血液検査の結果を参考にします。

