人工肛門(ストーマ)を作る手術の流れと、装着後に注意したい合併症について、メディカルドック監修医が詳しく解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「人工肛門(ストーマ)」が必要になる病気・疾患はご存知ですか?医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
人工肛門(ストーマ)とは?
人工肛門(ストーマ)とは、病気や怪我などが原因となり手術によって腹部に作られる、便を体外へ排出するための開口部のことです。ストーマの主な目的は、直腸や肛門が適切に機能しない、または治療のためにバイパスする必要がある場合に、便を安全に体外へ排出することです。この手術では、小腸または大腸の一部を腹部の表面に引き出します。自然な肛門とは異なり、ストーマには括約筋がないため、便の排出を意図的にコントロールすることはできません。そのため、ストーマには、便を溜めるためのパウチと呼ばれる装具を装着して生活します。今回はストーマについて、その種類や原因、ストーマトラブルの対処法について徹底解説をしていきます。
人工肛門を作る流れ
①手術前のストーマサイトマーキング
ストーマを腹部のどの位置に作成するかは、手術の成否と術後の患者さんの生活の質に大きく影響するため、非常に重要な決定です。可能な限り手術前に、ストーマの位置を慎重に計画します。ストーマの位置を決めることはストーマサイトマーキングと呼ばれ、手術を行う外科医、ストーマケアを専門とする看護師、そして患者さん自身が協力して行うことが必要です。最適な位置は、作成されるストーマの種類、患者さんの体型、腹部のしわやたるみ、そして患者さん自身がストーマを視認できるかどうかなどを考慮して決定されます。これによりストーマ装具がしっかりと装着でき、合併症のリスクを減らすことができます。
②手術の流れ
ストーマを造設する手術は、通常、全身麻酔下で行われます。これにより、患者さんは手術中に完全に眠り、痛みを感じることはありません。外科医は、術前にマーキングされた部位の腹部に外科的な切開を加え、大腸または小腸を腹壁を通して引き出します。次に、引き出された腸の端を内側に反転させ、皮膚に縫い付けてストーマの開口部を作成します。ストーマを作成するための外科的な手法は、単孔式ストーマ(腸の一端を腹部の表面に出す)と双孔式ストーマの2通りです。どちらの手法を選択するかは、ストーマが一時的なものか永久的なものか、そして手術の具体的な状況によって異なります。永久的ストーマの場合、通常、S状結腸が使用され、左下腹部から体外に出されることが多いです。一時的回腸ストーマの場合、双孔式回腸ストーマが一般的に使用され、右腹部から体外に出されます。
③手術後の管理
手術直後は、ストーマが浮腫んでおり、内出血のために青紫色に見えることがあります。これは正常な反応で通常数週間かけて徐々にきれいなピンク色に戻ります。術後の初期段階では、ストーマケア看護師や医師がストーマの色、サイズ、および排泄物の量と種類を注意深く観察し、適切な血流と正常にストーマが機能しているかを確認します。患者さんはストーマのケア方法について指導を受けます。ストーマからの最初の排泄物は、ストーマの種類によって異なり、回腸ストーマでは通常液体状で、大腸ストーマの排泄物は液体状から固形に近いものまでさまざまです。退院後も、外科医とストーマケア看護師により、定期的に経過をみてもらう必要があります。

