睡眠は心身の回復だけでなく、健康的に年齢を重ねるためにも重要な役割を担っています。米コロンビア大学ヴァジェロス医学校の研究員らは、睡眠時間と体の老化の進み具合との関係を調査し、睡眠時間が短すぎても長すぎても健康への影響が大きくなる可能性を示しました。この内容について伊藤先生に伺いました。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
研究グループが発表した内容とは?
編集部
米コロンビア大学ヴァジェロス医学校の研究員らが発表した内容を教えてください。
伊藤先生
この調査では、英国の大規模データをもとに、脳や体のさまざまな部位、血液中のたんぱく質や代謝物などから算出した23種類の「生物学的な年齢の指標(体の状態から見た老化の目安)」を分析しました。その結果、睡眠時間と体の老化の進み具合には関連があることが分かりました。特に、1日6〜8時間程度の睡眠をとる人は、生物学的な年齢との差が小さく、健康的な状態を保てている可能性が示されています。一方、6時間未満の短い睡眠や8時間を超える長い睡眠は、脳以外の病気や死亡リスクの上昇と関連していました。つまり、睡眠時間が短すぎても長すぎても老化の進行に悪影響となる傾向があり、自分に合った適切な睡眠時間を確保することが、健康維持や長寿につながる可能性があるといえます。
睡眠の質を高める方法とは?
編集部
今回の研究では、適切な睡眠時間を確保することの重要性が示されました。より良い睡眠をとるためには、日頃どのような工夫が効果的なのでしょうか。
伊藤先生
睡眠の質を高めるためには、毎日の生活習慣を整えることが大切です。朝に日光を浴びることで体内時計が調整され、夜に自然な眠気を促しやすくなります。一方で、就寝前はスマートフォンなどの強い光を避け、寝室の照明や温度、音などを調整して眠りやすい環境をつくりましょう。また、日中に適度な運動を取り入れることや、朝食をとって規則正しい生活を送ることも睡眠の質の向上につながります。就寝前はリラックスする時間を作り、カフェインやアルコール、ニコチンの摂取にも注意が必要です。特に寝酒は睡眠の質を低下させる可能性があります。質の良い睡眠を得るために、できることから生活習慣を見直していきましょう。

