かつてクックパッドを批判していた男が、有料登録した理由
稲田さんは実は、かつてクックパッドに批判的だったといいます。だからこそ、この場でその話をするのは「職員室に呼び出されたぐらいの緊張感がある」と前置きしながら、こう打ち明けました。
「みんなクックパッドじゃないレシピサイトを見た方がいいんじゃないですか、みたいなことをずっと言ってたんです」
プロが作った精度の高いレシピサイトがいくらでもある中で、あえて玉石混交のクックパッドを見る必要があるのか、と感じていたそうです。しかし、家庭料理をテーマにした連載を書き始めたとき、転機が訪れます。家庭料理のリアルが一番よく見えるのはクックパッドだと気づいた稲田さんは、その日から有料登録しました。
そしてハンバーグや肉じゃがと検索しながら読み込むうちに、あることに気づきます。検索窓にうっすらと表示されているプレースホルダーが「作りたい料理」ではなく「使いたい食材」だったのです。
「家庭料理の真の主役は、名もなき料理だろうと。名もなき煮込みである、名もなきスープである、みたいな世界なんですよね」
素材で検索してヒットするレシピを見ていくと、そのほとんどが子どもが食べてくれそうな料理でした。プロのレシピサイトでは拾えない、家庭料理のリアルがそこにあったのです。
「家庭料理は孤独な戦いなんですよ。クックパッドって、その孤独な戦いをしてる人たちが繋がれるハブで、しかもそこを覗くと『この程度で十分』っていう許しがいっぱい出てくる。ようやく自分はクックパッドが何かを理解することができたと。今まで全くわかってなかったんです」
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第80回・第81回(6月5日・12日配信) 稲田俊輔さん
料理人・文筆家/南インド料理専門店エリックサウスでは総料理長を務める他、様々なジャンルの飲食店をプロデュース。レシピ本を始め、エッセイ、小説など食にまつわる著作も多数。近著は『稲田俊輔のおそうざい十二ヶ月』(暮しの手帖社)、『東西の味』(集英社)
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クックパッド株式会社 小竹 貴子
料理愛好家・ 料理の楽しみ共創室 部長/創業期から参画し、初代編集長としてメディアづくりに携わる。現在は、料理家や生産者といった食のつくり手の声を届ける活動を行っている。「日経ウーマンオブザイヤー2010」受賞。プロの技術や食材の背景にある物語を、暮らしに馴染む言葉で伝えることをライフワークに、生活者の目線で食の楽しさを探求している。
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