井戸端会議でのウワサ話にうんざりしながらも、近所付き合いのために笑って聞いていた私。けれど、毎朝のように誰かの家庭の話を聞かされるうちに、次第に気持ちが重くなっていきました。ある日をきっかけに、私は少しずつ距離を置くことにしたのです。
抜けられないウワサ話
私の住む地域では、朝のゴミ出しの時間になると、近所の人たちが自然と集まることがありました。最初は「おはようございます」とあいさつを交わす程度でしたが、やがて立ち話が長くなるようになりました。
話題は、天気や町内会のことだけならよかったのですが、次第に誰かの家庭の事情や、よその家の子どもの話、夫婦喧嘩のウワサなどに変わっていきました。「この前、あそこの奥さんがね」「息子さん、また帰ってきているみたいよ」などと話が続くたび、私はどう反応してよいかわからなくなりました。否定するのも角が立つ気がして、つい曖昧に笑って聞いていました。
けれど、家に戻るころにはいつも気持ちが疲れていました。自分が悪口を言ったわけではなくても、その場にいただけで心が重くなるのです。
聞き役をやめることに
ある朝も、いつものようにゴミ出しを終えたところで呼び止められました。その日は、近所のご夫婦の話になりかけていました。私はふと、「またこの話を聞くのか」と思いました。すると急に、その場に立ち続けることがつらくなったのです。
そこで思い切って、「すみません、今日は用事があるので」とだけ言い、早めに家へ戻りました。特別な用事があったわけではありません。ただ、その場から離れたいという気持ちを優先しました。最初のうちは、少し気まずさもありました。翌日も呼び止められると、「洗濯物を干さないと」「電話をする予定があって」と、短く切り上げるようにしました。
無視をするわけではなく、あいさつはきちんとする。でも、長い立ち話には入らない。そう決めて続けているうちに、だんだん私を長く引き止める人は少なくなっていきました。

