『緑内障』は“見えているつもり”で進行する? 気付きにくい視野欠損の特徴を医師が解説

『緑内障』は“見えているつもり”で進行する? 気付きにくい視野欠損の特徴を医師が解説

緑内障は、日本における失明原因の第1位となる病気です。一方で、初期には自覚症状が乏しく、見えにくさを感じたときには病気が進行していることもあるため、早期発見のためには定期的な検査が重要です。今回は、緑内障による視野欠損の特徴や検査、受診の目安について、白戸眼科院長の白戸先生に話を聞きました。

※2026年6月取材。

白戸 勝

監修医師:
白戸 勝(白戸眼科)

東海大学医学部を卒業後、千葉大学医学部眼科学に入局。ヒューストン大学オプトメトリー研究員、千葉大学大学院医学研究院眼科学助教、千葉大学医学部附属病院診療講師、成田赤十字病院眼科部長などを経て現職。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。

緑内障とは? 病気の特徴

緑内障とは? 病気の特徴

編集部

緑内障とは、どのような病気なのでしょうか?

白戸先生

緑内障は、視神経が障害されることで視野(見える範囲)が徐々に狭くなっていく病気です。進行すると日常生活に支障をきたすこともありますが、初期には自覚症状が乏しいことも多く、気付かないまま進行しているケースも少なくありません。

編集部

なぜ緑内障は、気付きにくいのですか?

白戸先生

緑内障(急性緑内障、続発性緑内障を除く)は慢性疾患であり、進行が非常にゆっくりであるため、悪くなっていることに気付きにくいものです。また、ものを見るときは左右両方の眼を使っているため、片眼の視野が障害されても、もう片眼の視野でカバーされてしまい、気付きにくいという側面もあります。

編集部

緑内障は、どのくらい多い病気なのでしょうか?

白戸先生

決して珍しい病気ではありません。年齢の上昇とともに増加するとされており、40歳以上の日本人の20人に1人が緑内障とされています。自覚症状がまったくないのに、人間ドックや眼科健診で指摘されて見つかるケースも少なくありません。さらに、まだ診断されていない緑内障の人も多数いると考えられています。

編集部

緑内障が進行すると、どうなるのですか?

白戸先生

進行すると視野障害が広がり、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのままにしていると失明に至ることもありますが、早期に発見し、治療をきちんと続けていれば、多くの場合失明を防げるとされています。

緑内障の視野欠損と見え方

緑内障の視野欠損と見え方

編集部

緑内障では、どのように視野が欠けていくのでしょうか?

白戸先生

いきなり広範囲の視野が欠けることはなく、失われた視神経の分布に沿う形で少しずつ欠けていきます。欠け始める場所は人によってさまざまで、周辺部からの人もいれば中心からの人もいます。

編集部

「真っ暗になって見えなくなる」という感じではないのですね。

白戸先生

そうですね。突然視野全体が真っ暗になるというより、一部が欠けるように見えなくなります。さらに、片方の眼に見えない部分があっても、反対の眼が補ってしまうため、かなり進行しても「見えていると思っていた」という人が少なくありません。

編集部

日常生活では、どのような場面で気付くことがありますか?

白戸先生

中心視野から欠け始める場合は、初期でも自覚症状が出てきます。視野が欠けるというよりは、何となく眼が疲れる、活字を読むと文字が飛んでしまうといった症状を訴えることが多いです。視野欠損が進行し、両眼とも下方の視野が欠けると、階段が下りづらくなります。車の運転も危険を伴います。大半の人は運転中に眼や頭を動かして無意識に視野を補っているため、支障を感じにくいのですが、実際には水平方向の見落としが多いといわれています。本人が気付かないケースがほとんどです。

編集部

運転中でも支障を感じない人が多いというのは驚きです。

白戸先生

“運転外来”を受診した緑内障患者さん227人を対象にした調査では、約64%が「運転に問題はない」「正常に見えている」と回答しました。しかし、実際には検査で視野障害が確認されており、自覚症状と実際の状態には大きなギャップがあることが分かりました。
緑内障では視力が保たれていることも多いため、「見えているつもり」で運転しているケースは少なくありません。安全に運転を続けるためには、自覚症状の有無だけでなく、定期的な検査で状態を確認することが大切です。

編集部

眼科では、どのような検査を行うのでしょうか?

白戸先生

緑内障は基本的に眼底(眼の奥)の病気であるため、眼底検査、OCT(光干渉断層計)検査、視野検査で診断します。緑内障の診断に至ったら、眼圧(眼の中の圧力)の測定や隅角(ぐうかく)観察を行い、病型を診断します。緑内障は、機能より先に構造が障害される特徴があり、眼底検査やOCTで緑内障が疑われても、視野検査では正常となる場合があります。そのようなケースを「前視野緑内障」と呼び、今後緑内障で視野欠損が生じる可能性が高い状態、いわば「緑内障予備軍」といえます。それほど負担の大きな検査ではないため、気になる症状のある人はもちろん、症状がない人にも一度は受けてほしい検査です。

配信元: Medical DOC

提供元

プロフィール画像

Medical DOC

Medical DOC(メディカルドキュメント)は800名以上の監修ドクターと作った医療情報サイトです。 カラダの悩みは人それぞれ。その人にあった病院やクリニック・ドクター・医療情報を見つけることは、簡単ではありません。 Medical DOCはカラダの悩みを抱える方へ「信頼できる」「わかりやすい」情報をお届け致します。