「最近、便秘や下痢が続いている」と、自分のお通じ具合が気になっている人は多いのではないでしょうか。独・ルール大学ボーフムの研究員らが、便秘・下痢と大腸がんとの関連を調査した結果、これらの症状は大腸がんの診断直前の数カ月間に多くみられ、下痢や便秘は大腸がんの原因そのものというより、危険信号である可能性が高いことを報告しました。この内容について前島先生に伺いました。

監修医師:
前島 拓(医師)
日本消化器外科学会認定消化器外科専門医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本がん治療認定医機構認定がん治療認定医
研究グループが発表した内容とは?
編集部
ルール大学ボーフムの研究員らが発表した内容を教えてください。
前島先生
ルール大学ボーフムの研究員らは、便秘・下痢と大腸がんとの関連について調べるため、ドイツの疾病分析データベースを用いた後ろ向き症例対照研究(すでに集められたデータをもとに、病気の人とそうでない人を比較する研究方法)を実施しました。大腸がん患者さん1万941人と、がんのない5万4705人を比較し、診断前最大5年間の排便症状を解析した結果、大腸がんと診断される6カ月以内で、便秘や下痢がみられる人が有意に多いことが分かりました。
特に下痢は、医療機関で診断された回数が多いほど、大腸がんとの関連が強く認められました。一方で、診断の1年以上前にみられた便秘・下痢と大腸がんとの関連は確認されませんでした。
研究グループは、便秘や下痢は大腸がんの原因となる危険因子ではなく、がんによる変化を反映した「危険信号」である可能性が高いと報告しています。排便習慣の変化が続く場合には、早めに医療機関を受診し、必要に応じて詳しい検査を受けることが重要です。
大腸がんの代表的な症状とは?
編集部
大腸がんの代表的な症状について教えてください。
前島先生
大腸がんは、早期段階では自覚症状がほとんどないことが多いものの、進行するとさまざまな症状が表れます。代表的な症状には、 ・血便や便秘、下痢などの排便習慣の変化・便が細くなる
・便が残ったように感じる(残便感)
・腹痛
・嘔吐
・貧血
などがあります。
症状は、がんができた場所によって異なることも特徴です。下行結腸やS状結腸(大腸の下部)、直腸では便の通りが悪くなることで腹痛や嘔吐、血便、便が細くなる症状が表れやすい一方、盲腸や上行結腸、横行結腸(大腸の上部・右側)では腹部症状が目立たず、貧血やお腹のしこりをきっかけに見つかることもあります。
こうした症状が続く場合や、いつもと違う排便習慣の変化に気付いた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

