全身性エリテマトーデス(SLE)は、免疫の異常により皮膚や関節、臓器など全身に炎症が起こる自己免疫疾患で、国の指定難病の一つです。Aさん(仮称)は2024年10月末ごろ、解熱剤を飲んでも2週間下がらない発熱や息苦しさをきっかけに受診し、心膜炎(心臓を包む膜に炎症が起こる病気)と診断されました。精密検査の結果、その背景にSLEがあることが判明。約1カ月の入院治療を経て、現在も定期的に通院しながらフルタイムで働いています。Aさんに発覚から診断、治療に至るまでの経緯を聞きました。
※2026年2月取材。
体験者プロフィール:
Aさん(仮称)
兵庫県出身。実家を離れ、大阪府大阪市で暮らす26歳(2026年7月時点)。2024年10月末ごろに心膜炎を発症し、精密検査の結果、その背景に全身性エリテマトーデス(SLE)があることが判明。同年11月から約1カ月間入院して治療を受け、退院後も定期的に通院しながら治療を続けている。診断当時の職業はシステムエンジニア。その後、体調に合わせて残業がなく自宅から近い職場へ転職し、現在は就労継続支援B型事業所の生活支援員としてフルタイムで働いている。
2週間続いた発熱… 心膜炎の背景にSLEが見つかった
SLEの診断を受ける約半年前。指の腫れや赤みがあった
編集部
体に異変を感じたのはいつごろでしたか?
Aさん
2024年10月末ごろです。解熱剤を飲んでも発熱が2週間ほど続き、息苦しさや胸の痛み、咳の症状が出てきました。近所の内科クリニックを受診すると、大きな病院への紹介状を渡され、その日のうちに駆け込みました。すぐに心膜炎が見つかり、そのまま入院することになったんです。
編集部
SLEは、どのような経緯で分かったのでしょうか?
Aさん
入院してから1~2週間ほどで、心膜炎の背景としてSLEが判明し、続けて1カ月間、治療を受けました。
実は、高校生のころから蝶形紅斑(ちょうけいこうはん/両頬にチョウが羽を広げたような形で出る赤い発疹)やレイノー現象(寒さやストレスで手足の指先の血管が縮み、白っぽく変色する現象)と思われる症状があったんです。そのことを医師に伝えたところ、発症時期は特定できず「不詳」とされました。
編集部
病名がはっきりしたときの心境を教えてください。
Aさん
聞いたことのない病名に戸惑い、それまで自覚なく過ごしていた分、強い不安を感じました。この先長く付き合う難病だと知って、「まだまだやりたいことがたくさんあるのに」と先が見えない気持ちでした。
それでも、学生時代から何となく感じていた体の不調や肌の悩みの原因が分かり、これまでの自分の状態に説明がつきました。病気への不安はあったものの、診断名がついたことですっきりした部分もありました。
編集部
医師からは、治療についてどのような説明をされましたか?
Aさん
入院中はステロイドパルス療法(短期間に大量のステロイドを点滴投与する治療法)で炎症を抑え、その後はステロイドの内服と免疫抑制剤(免疫の働きを抑える薬)を使った治療を続けると説明を受けました。退院後は毎月通院し、採血や点滴で体の状態を確認しながら、調子がよければ少しずつステロイドを減らしていく流れでした(※)。※治療方針は患者さんの状態によって異なります
副作用は大変だが症状は落ち着きつつある
治療開始直後。レイノー現象により指先が変色した
編集部
病気が判明してから、生活にはどのような変化がありましたか?
Aさん
病気そのものよりも、ステロイド治療の副作用がつらく、入院前の元気だったころと比べてしんどい時期が長く続きました。体の重だるさやムーンフェイス(ステロイドの副作用で顔が丸くなること)で、鏡を見るのもつらくなりましたね。退院後は約1カ月間休職し、その後は時短勤務で復帰しましたが、ステロイドによる免疫低下で帯状疱疹(たいじょうほうしん)を発症し、再入院。フルタイム勤務に戻った後も、疲れや副作用の影響か気持ちが落ち込み、再び仕事を離れました。休職中は、お金のことが気になる場面も増え、診断前の「普通の生活」とはかけ離れた日々になりました(※)。
※治療期間や副作用の表れ方には個人差があります
編集部
治療中、心の支えになったものはありますか?
Aさん
入院中は、家族が頻繁に面会に来てくれたことが何よりの心の支えでした。退院後は副作用で外に出られない日も多くありましたが、入院中に始めた編み物に集中する時間は、よい気分転換になりました。
編集部
病気は現在、どのような状況なのでしょうか?
Aさん
免疫抑制剤と、その副作用を抑えるための薬を服用しながら治療を続けています。ステロイドは段階的に減量し、2026年1月に服用を終了しました。通院は1~2カ月に1回になり、採血や点滴で経過をみてもらう形です。
今も体調には波があるものの、治療開始当初と比べると、症状も薬の副作用も少しずつ落ち着いてきていると感じています。
編集部
職場には復帰されたのでしょうか?
Aさん
はい。現在はフルタイムで働いています。以前より体調は安定していますが、体のだるさを感じる日や、薬の調整直後に離脱症状のような不調が出る日もあり、そのようなときは無理をせず休むようにしています。
退院直後は免疫の低下による感染症のリスクがあり、医師から外出を控えるよう指示がありました。今は副作用も軽くなり、マスクや日焼け対策をしながら、ときどき旅行を楽しめるようになりました。

