年齢を重ねるにつれて、「物忘れが増えた」「集中力が続きにくい」と感じる人もいるのではないでしょうか? 近年、食事と脳の健康との関係が注目されています。
スペイン・バルセロナ大学の研究者らは、トマトに多く含まれるリコピンに着目し、健康な成人を対象に認知機能への影響を調査。その結果、トマトペーストの摂取によって、集中力や記憶力の一部に改善が見られ、脳の働きを支える仕組みにも変化が確認されました。この内容について勝木先生に伺いました。

監修医師:
勝木 将人(医師)
2016年東北大学卒業 / 現在は諏訪日赤に脳外科医、頭痛外来で勤務。 / 専門は頭痛、データサイエンス、AI.
研究グループが発表した内容とは?
編集部
スペイン・バルセロナ大学の研究者らが発表した内容を教えてください。
勝木先生
スペイン・バルセロナ大学の研究者らは、健康な成人を対象とした試験で、トマトペーストの摂取により集中力や記憶力の一部が改善する可能性があることを報告しました。トマトに多く含まれるリコピンは、強い抗酸化作用や抗炎症作用を持つ成分として知られていますが、健康な人の認知機能への影響は、これまで十分に分かっていませんでした。研究では、40〜55歳の健康な成人47人を対象に、濃縮トマトペーストを毎日3カ月間摂取する期間と、リコピンを控えた食事を続ける期間を比較する試験を行いました。その結果、トマトペーストを摂取した期間では、集中力や情報を素早く処理する力(処理速度)、顔と名前を結び付けて覚える記憶力の改善が確認されました。また、脳の働きを支えると考えられている脳由来神経栄養因子(BDNF)の値は増加傾向を示し、脳の活動を調べる機能的MRI(fMRI)では、脳内ネットワークのつながり方にも変化が見られました。研究者らは、こうした変化が認知機能の維持や向上に関わる可能性があると考えています。
今回の結果から、トマトを日常的に取り入れることは、健康な中年世代の脳の健康を支える一助となる可能性が示されました。
認知機能を維持するためには?
編集部
認知機能を維持するために、食事でどんなことに気を付けたらよいか教えてください。
勝木先生
認知機能を維持するためには、毎日の食事でさまざまな食品をバランスよく取り入れることが大切です。肉や魚、乳製品、野菜、穀類など幅広い食品を食べることで、タンパク質や脂質、ビタミン、微量栄養素など、脳の働きを支えるために必要な栄養素を補うことができます。また、献立を考えたり、食材を選んだり、調理したりする行動も、脳への適度な刺激につながると考えられています。食事がおろそかになると栄養が偏りやすくなるため、毎日の食卓に少しずつでも種類の異なる食品を取り入れるようにしましょう。季節の食材を楽しみながら、豊かな食生活を心がけてください。

