「電子レンジでがんになる」「波動療法に200万円」…3児の母がSNSの“エセ情報”に声を上げ続ける理由

「電子レンジでがんになる」「波動療法に200万円」…3児の母がSNSの“エセ情報”に声を上げ続ける理由

「政府の手下だろ」と心ない声も

かがみあやかさん――現在の「物理学系クリエイター」は、いつから名乗っているのでしょう?

あやか:2025年からですね。実は、適当に付けました(笑)。「私は何をやっている人なんだろう」と考えたとき、物理について発信しているし、動画などを作って伝えているので、それなら「物理学系クリエイターでいいかな」と考えたんです。他ではみかけない面白さもあると思いますし、我ながら気に入っています。

――発信の軸となっているものは何でしょう?

あやか:“物理の面白さを知ってもらいたい気持ち”です。高校で物理を履修する生徒は2割程度と言われていて、多くの人が物理学にあまり関わらないまま大人になります。その結果、「周波数」や「波動」、「電磁波」といった用語が、誤って使われている可能性もあると思っているんです。生活に密着した学問のはずなのに、知れ渡っていないのはもったいないと感じています。

――発信者としては、伝え方で気をつかう部分もあるのではないでしょうか?

あやか:そうですね。できるだけ感情を抑えながらの論理的な説明に努めて、あくまでも「私の見解」として伝わるように意識しています。ただ、どれほど気をつかっても、炎上することはあります。実際、「政府の手下だろ」とか「金をもらってるんだろう」とか、辛らつで攻撃的なメッセージが届くときもありました。内心で「1円ももらってないよ」とあきれながらも、メンタルを削られて、発信できなくなった時期もありました。

「家族がエセ科学を信じてしまっている」とDMも

かがみあやかさん――子育てに励む方からも、メッセージは届くのでしょうか?

あやか:多いですね。間違った情報を信じてしまう方は、たくさんいます。例えば、Instagramで「電磁波により子どもが脳腫瘍になる」という投稿が一気に広まった時期があったんです。私のもとにも「スマホを子どもの頭の横で充電してしまいました。不安で仕方ありません」というDMが届きました。そういうメッセージをもとに私も、情報を訂正するような動画を作ります。

この「電磁波で子どもがガンになる」のような投稿はたびたびバズり、そのたびに不安の声が寄せられます。こういった情報に影響されて、自然派のママさんが電磁波よけのネックレスをPRなどで売る動きも出てきています。数万円で売っている投稿も見かけました。

相談を寄せてくださる方には、できるだけ、科学的根拠にもとづき「大丈夫ですよ」と返信するように心がけてはいるんですが、みなさんの抱えている不安はさまざまで、心が痛む内容もあります。

――心が痛む内容とは、どのようなものだったのでしょう?

あやか:高校生の方から届いたメッセージは印象に残っていますね。お母さんが「波動」での治療にハマってしまって、200万円ほどの機械を購入してしまい「大学進学のために貯めていた私の学費がなくなりました」と、切実に訴えてきたんです。

他にも、奥様が「量子力学を使って人生を変える」というような趣旨のスピリチュアル講座にハマり、100万円以上のお金をつぎ込んでしまい離婚に至ったというフォロワーさんもいらっしゃいました。

エセ科学はある種宗教のようなものだと感じています。のめりこむと、高額のお金を使い込んで家族関係が壊れてしまう可能性をはらんでいます。そうなってしまう前に、自分で考えたり、学校で習う理科を身近に学んでおく必要があると思います。

――悲しみとも憤りともつかない、感情だったのかなと……。それでも、発信を続ける理由は何でしょう?

あやか:科学リテラシーが高まり「自分で考えて、自分で判断できる人が増えてほしい」と願っているからですね。不安を煽るような「エセ科学」の情報を見て迷ってしまった人たちが、私の発信によってわずかでも立ち止まってくれるならと思っているんです。前向きな反応をいただくと「発信を続けてきてよかったな」と感じます。日常生活で「科学は大事なんだ」という理解がもっと広まってほしいです。

かがみあやかさん【かがみあやか】

物理学系クリエイター。Instagramやnoteで身近な物理学の知識や科学リテラシーを高める考え方の発信をしている。物理学専攻、理学修士、3児の母。季刊誌『プレジデントFamily』で「家庭の科学」を連載中。

<取材・文/カネコシュウヘイ 撮影/林紘輝>



配信元: 女子SPA!

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