予防薬の費用比較
月に3〜4回以上の発作がある方、または発作が重く日常生活に支障が大きい場合は「予防薬」の使用が検討されます。予防薬は毎日または定期的に使用することで、発作の頻度や強さを減らすことを目的とします。大きく分けて「従来の予防薬」と「CGRP関連抗体薬(注射)」の2種類があります。
■ 従来の予防薬
従来の予防薬とは、もともと高血圧・うつ病・てんかんなど別の疾患の治療薬として開発されたもので、長年にわたる使用実績があります。代表的なものにプロプラノロールなどのβ遮断薬、アミトリプチリンなどの三環系抗うつ薬、バルプロ酸)などの抗てんかん薬があります。
費用は3割負担で月数百〜1,000円程度と安価であり、経済的な負担が少ないことが利点です。かかりつけの脳神経内科・脳神経外科・頭痛専門外来で処方を受けられます。
■ β遮断薬・代表薬:プロプラノロール・アテノロールなど
・費用目安(30日分・3割負担):55~220円程度
■ 三環系抗うつ薬(TCA)
・代表薬:アミトリプチリンなど
・費用目安(30日分・3割負担):45~155円程度
■ 抗てんかん薬
・代表薬:バルプロ酸・ラモトリギンなど
・費用目安(30日分・3割負担):60~1,000円程度
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
■ 最新の予防薬
注射が苦手な方などのために、新しいタイプの予防薬として、口の中で溶けて水なしでも飲める内服薬「ナルティーク(リメゲパント)」も登場しています。2日に1回服用するタイプで、費用目安は30日分(15錠)の3割負担で約13,200円程度です(※注射薬とほぼ同等の費用感となります)。
■ CGRP関連抗体薬(注射)
CGRP関連抗体薬とは、「カルシトニン遺伝子関連ペプチド」という片頭痛の発作に深く関わる物質を標的にした、片頭痛専用に開発された新世代の予防薬です。例えるならば、発作の引き金となる信号を受け取れないようにする「受信ブロッカー」のような仕組みです。月1回または3ヶ月に1回の皮下注射で使用します。現在日本で保険適用されている薬は4種類あり、3割負担の方の自己負担は1回あたり約11,600〜36,200円です。
■ エムガルティ(ガルカネズマブ)・投与間隔:月1回
・自己負担の目安(3割負担):約11,700円(初回のみ2本 約23,400円)
■ アジョビ(フレマネズマブ)
・投与間隔:月1回または3ヶ月に1回
・自己負担の目安(3割負担):約11,600円
■ アイモビーグ(エレヌマブ)
・投与間隔:月1回
・自己負担の目安(3割負担):約11,600円
■ ヴェイディ(エプチネズマブ)
・投与間隔:3ヶ月に1回
・自己負担の目安(3割負担):約18,100~36,200円
※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。
保険適用の条件は、下記の3つを全て満たし、医師が必要と判断した場合にのみです。
① 片頭痛の診断が確定している
② 月4回以上の片頭痛発作がある
③ 従来の予防薬が無効または副作用で使えない
脳神経内科・脳神経外科・頭痛専門外来などにて医師の判断のもと開始します。初回は必ず医療機関で実施しますが、その後は医師の判断により在宅での自己注射が認められており、手技に慣れれば最大3本まで一括処方(3割負担で約35,000円程度)を受けることもできます。(ただし、ヴェイディのみ点滴静注のため医療機関のみで実施可能)
知っておきたい公的制度
CGRP関連抗体薬など新薬は費用が高額になりやすいため、以下の制度を積極的に活用することが重要です。
■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)
高額療養費制度とは、1ヶ月間に支払った保険診療の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分を後から払い戻してもらえる制度です。自己負担の上限額は年収によって異なり、例えば年収約370万円〜770万円の方(一般区分)は「月80,100円+(医療費-267,000円)×1%」が上限です。同じ月に複数の医療費が重なった場合は上限を超える可能性があり、その超過分が後日払い戻されます。
マイナンバーカード(マイナ保険証)でオンライン資格確認をすると自動で自己負担限度額が適用されるため、高額療養費の申請は原則不要で、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられます。
ただし、資格確認書を使用している場合は「限度額適用認定証」の取得申請が必要となります。事前に「限度額適用認定証」を取得して医療機関に提示しておくと、医療機関の窓口での支払いを最初から限度額にとどめることができます。申請窓口は、会社員の方は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業・無職の方は居住地の市区町村窓口です。
■ 付加給付制度(ふかきゅうふせいど)
付加給付制度とは、健康保険組合や共済組合が独自に設けている上乗せ給付制度です。1ヶ月の自己負担額の上限を2万〜2.5万円程度に設定している組合が多く、高額療養費制度よりもさらに負担を軽減できます。大企業の健康保険組合や公務員共済に加入している方が利用しやすい制度です。申請窓口:勤務先の人事・総務部門、または加入している健康保険組合に直接お問い合わせください。

