●「顔を見るのも怖い」それでも実名の理由
その後、塚原さんはさまざまなメディアで実名・顔出しの取材を受けるようになった。理由は一つだ。
「父に見せたいからです。父はまだ反省していない。『あなたのせいで、私はこうなった』と知ってほしいんです」
これに対し、父親はSNS上で塚原さんを「大悪魔」「知能に問題がある」などと投稿して誹謗中傷を重ねた。塚原さんが刑事告訴した結果、父親は侮辱罪で略式命令を受け、罰金刑が言い渡された。
今回の民事訴訟では、これらのSNS投稿に対する名誉毀損の責任も追及している。
「もちろん裁判は怖いです。父の顔を見るのも怖い。もし直接会ったら何をされるかわからない。でも、勝つ負け以上に、裁判を起こして問いただすこと自体に意味があると思っています」
●「加害者だけが救われるような制度はおかしい」
今回の裁判における最大の法的な壁は、虐待から40年近く経過していることによる「消滅時効」の適用だ。
原告側は、複雑性PTSDを発症した2021年10月が損害の起算日であり、時効はそこから進行すると主張している。
現在、塚原さんは一般社団法人「PCASA JAPAN」を設立し、代表理事として性犯罪の公訴時効撤廃に向けた活動もおこなっている。
「被害を受けても、すぐに声を上げられる人ばかりではありません。相手が親であり、被害者が子どもならなおさらです。時間が経てば経つほど、加害者だけが救われるような制度を変えていきたい」

