暑い日に外にいた後や、スポーツ・作業をした後に頭がズキンズキンと痛む場合、熱中症のサインである可能性があります。熱中症による頭痛は、脱水や血流不足が関係して起こることがあり、早めに対処しないと重症化することがあります。
この記事は、熱中症で頭痛が起こる理由や、頭痛をすぐに和らげるための対処法、受診の目安を解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
熱中症で頭痛が起こる理由

熱中症ではなぜ頭痛が起こるのですか?
熱中症で頭痛が起こる主な理由は、体内の水分や塩分が大量に失われる脱水と、それに伴う脳への血流不足です。暑い環境にいたり運動をしたりして体温が上がると、身体は皮膚の血管を広げ、汗をかいて熱を逃がそうとします。しかし、水分や塩分の補給が追いつかないと、全身を巡る血液の量が減り、脳へ届く血流も不足しやすくなります。その結果、脳が酸素不足に近い状態となり、頭痛やめまいが起こります。
どのような頭痛が熱中症のサインですか?
熱中症による頭痛は、ズキンズキンと脈打つような痛みや、頭がガンガンするような強い痛みがみられることがあります。炎天下での作業やスポーツ中、エアコンが効いていない暑い室内で過ごしているときに急に頭痛が出た場合は、熱中症を疑います。熱中症は頭痛だけでなく、大量の汗、めまい、立ちくらみ、強いのどの渇き、全身のだるさ、吐き気、筋肉がつる症状などを伴うことがあります。これらが頭痛と一緒に現れている場合は、熱中症が進んでいる可能性があります。無理を続けず、すぐに暑い環境から離れて対処を始めてください。
熱中症の頭痛をすぐに和らげる対処

頭痛が出たときにまずすることは何か教えてください
熱中症を疑う頭痛が出たら、まず涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめて身体を休ませます。暑い環境にとどまって活動を続けると、体温がさらに上がり、脱水も進んで重症の熱中症に悪化するおそれがあります。風通しのよい日陰や、エアコンが効いた涼しい室内へ移動してください。安全な場所に移ったら、ネクタイやベルト、ボタンなどを外して衣服をゆるめ、身体から熱を逃がしやすくします。可能であれば横になり、足を少し高くして休むと、脳への血流が戻りやすくなります。そのうえで、身体を冷やす処置と水分・塩分の補給を始めます。
体を冷やす場所や水分のとり方を教えてください
身体を効率よく冷やすには、太い血管が皮膚の近くを通る首、わきの下、太ももの付け根を冷やします。氷のうや保冷剤、冷えたペットボトルなどをタオルで包み、首の付け根、わきの下、太ももの付け根に当ててください。冷やされた血液が全身を巡ることで、体内の熱を下げやすくなります。水分補給は、冷たい水を飲むことも体温を下げる助けになります。ただし、大量に汗をかいている場合は水分だけでなく塩分も失われているため、経口補水液やスポーツドリンクなどを選びます。水分をとるときは、本人が自力で飲める状態かを確認してください。意識がもうろうとしている、吐き気が強くて飲めないといった場合に無理に飲ませると、気道に入る危険があります。この場合はすぐに病院を受診してください。
頭痛薬は飲んでもよいですか?
熱中症による頭痛は、自己判断で市販の頭痛薬を飲むことは避けてください。風邪などの発熱で使う解熱鎮痛薬には、NSAIDsやアセトアミノフェンなどがあります。これらは体温調節に関わる仕組みに作用して熱を下げる薬ですが、熱中症による高体温には効果が期待できません。さらに、熱中症で脱水がある状態で解熱鎮痛薬を使用すると、腎臓や肝臓に負担がかかったり、血液が固まりにくくなる凝固障害を悪化させたりするおそれがあります。熱中症の頭痛は、薬で痛みを抑えるのではなく、身体を冷やし、水分と塩分を補い、原因となっている脱水と高体温を改善することが基本です。

