ピロリ菌と胃がんにはどのような関係があるのでしょうか。感染者が胃がんになる確率を医師が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「ピロリ菌と胃がん」の関係はご存知ですか?胃がんを発症する確率も解説!【医師監修】』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
ピロリ菌とは

ピロリ菌は胃の中にすみつく細菌で、日本人では中高年層を中心に多くの方が感染しています。感染してもすぐに症状は出ませんが、長期間にわたり胃の炎症や潰瘍、胃がんの原因となることがあるため、注意が必要です。
ピロリ菌の概要
ピロリ菌(Helicobacter pylori)は、らせん状の細菌で胃の粘膜に生息します。ウレアーゼという酵素で胃酸を中和し、強い酸性の環境でも生き延びることができます。感染が長く続くと、慢性胃炎から萎縮性胃炎、腸上皮化生を経て、胃がんへ進行する可能性があります。
ピロリ菌の感染経路
主な感染経路は経口感染で、幼少期の家庭内感染が中心です。食器の共有や井戸水の使用などが要因とされ、衛生環境が整っていない時代に多くの方が感染したと考えられています。
ピロリ菌の感染者数
日本では、ピロリ菌に感染している方が少なくとも3,000万人以上いるといわれており、特に50歳以上の世代で感染率が高くなっています。一方で、衛生環境の改善により感染者の割合は年々減少しており、若い世代では低い水準にとどまっています。今後も感染者はさらに減少していくと考えられています。
ピロリ菌と胃がんの関係

ピロリ菌は、胃がんの発症に深く関わる細菌です。感染すると胃の粘膜に慢性的な炎症が起こり、時間とともに細胞の異常が蓄積され、がんの発生につながると考えられています。世界の胃がんの約8割がピロリ菌感染に関連していると報告されています。日本ではこの関係がさらに強く、胃がん患者さんの約9割がピロリ菌に感染していることが示されています。

