「難聴」は認知症の危険因子? 放置のリスクと補聴器ケアの可能性を医師が解説

「難聴」は認知症の危険因子? 放置のリスクと補聴器ケアの可能性を医師が解説

「歳のせい」で放置しないために

「歳のせい」で放置しないために

編集部

加齢性難聴の治療について教えてください。

廣瀬先生

主に補聴器の装用や生活環境の工夫などを行います。加齢性難聴は、内耳や神経の機能が徐々に低下して起こるため、根本的に元の状態に戻す治療は難しいとされています。そのため、治療では聞こえにくさを補い、日常生活やコミュニケーションへの影響を最小限に抑える目的があります。

編集部

補聴器はどのようなタイミングで検討するのでしょうか。

廣瀬先生

日常会話に支障が出ている場合が一つの目安です。聴力の数値だけでなく、生活への影響や本人の困りごとを踏まえて判断するため、耳鼻咽喉科医師(特に補聴器相談医)と相談しながら適切なタイミングを見極める必要があります。

編集部

「年齢のせい」ではなく、補聴器などできちんと対応する姿勢が大事なのですね。

廣瀬先生

日本の高齢者の難聴有病率は、70歳代では男女とも7割、80歳代では男性の約8割、女性の7割に達すると報告されています。難聴は高齢者の生活の質(QOL)に悪影響を及ぼし、認知症の重要な危険因子の一つとも考えられています。しかし、適切な時期に補聴器などで難聴のケアを行うと、認知機能の低下を抑制できる可能性が示されています。

編集部

周囲の人はどのように対応すればよいですか。

廣瀬先生

単に大きな声で話すのではなく、やや低めの声でゆっくり、はっきり話すと有効です。また、できるだけ静かな環境で話す、正面から話しかけるといった工夫で、同じ声量でも伝わりやすくなります。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

廣瀬先生

難聴の原因は耳垢や中耳炎、加齢性難聴などさまざまです。耳垢であれば除去により改善しますし、中耳炎ならば薬物治療や手術で改善が期待できる場合があります。そして、加齢性難聴であれば適切な時期に補聴器を導入すると聞き取りを改善できます。
ただし、補聴器をつけても若いころの正常な聴力に戻るわけではありません。年齢と共に「聞く力」は衰えていきます。補聴器は自分の残った「聞く力」を最大限に引き出す機器です。補聴器で「聞く」トレーニングを行うと「聞こえを再活性化」させられ、快適な聞こえの日常生活を送れるようになります。また、高齢になってからでも再活性化の可能性はあります。
「聞こえにくさ」のレベルには個人差があり、個人にあわせて詳細に補聴器を調整しなければなりません。この補聴器の調整と「聞こえ」の改善確認は、耳鼻咽喉科の補聴器相談医と補聴器認定技能士が密接に連携して行っています。難聴でお困りの場合はまず、補聴器相談医の診察を受けてください。

編集部まとめ

加齢による聞こえの低下は多くの人にみられますが、そのすべてが「仕方のない変化」とは限りません。進行を緩やかにする工夫や、早期の対応によって生活への影響を軽減できる可能性があります。「聞こえにくい」と感じた段階で放置せず、適切に評価を受けてください。

配信元: Medical DOC

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