頼ることは甘えじゃない――一人暮らし12年目が教えてくれた「自立」のかたち
編集部
現在の生活の中で、自分らしいと感じる時間を教えてください。
奥田さん
休日にカフェでのんびり過ごしたり、友人と他愛もない会話をしたりする時間が好きです。ショッピングやファッションも好きで、そういった時間を楽しみに仕事を頑張る感覚があります。したいことを自由にできることが一人暮らしの醍醐味で、アクリル画を描くことも気分転換になっています。
編集部
「自分でできることは自分で」という価値観が変わったきっかけと、装具との向き合い方を教えてください。
奥田さん
子どもの頃は、家族や学校の雰囲気の中で「自分でできることは自分でやる」のが当たり前だと思っていました。その考えが変わったのは大学生になってからです。周りの多くは装具ではなく、おしゃれな靴や服を着てキャンパスライフを送っていて、この先も装具だけで生きていくのかと考えた時、それは嫌だと思うようになりました。「履きたい靴を履きたい」という気持ちを優先してもいいのだと思ったことが始まりでした。今は装具が必要な状態ですが、履きたい靴をどう履くかを考えることは変わっておらず、装具をつけたまま履けて、デザインも気に入る靴を見つけることが楽しみになっています。
編集部
SNSでの発信活動に込めている思いを教えてください。
奥田さん
発信を通じて勇気を与えたいという方も多く、それは素敵なことだと思いますが、私自身は勇気というよりも現実的でリアルな気持ちを届けたい思いが強いです。自分自身、生活の中で色々な失敗をしてきましたし、こうすればよかったと思うこともたくさんあります。同じような葛藤を抱える人が少しでも同じ失敗をしなくて済むように、実際にあった出来事や気持ちを伝えていきたいと思っています。
編集部
同じ障害と向き合う方、リハビリテーション専門職の方、そしてご家族、特にお母様に向けてメッセージをお願いします。
奥田さん
親御さんに対しては、とにかく一人で抱え込まないでほしいと伝えたいです。少しでも困ったことがあれば、誰でもいいので「困っている」と口に出してみてほしいと思います。その一言が、誰かとつながるきっかけになります。私自身、発信活動をしてきたからこそ、今回のような機会をいただくこともできました。障害があってもなくても、一人でできることはほんの少ししかありません。だからこそどんどん人に頼ってほしいですし、お母さんご自身も、お子さんご本人も、ワクワクして生きられた方がいいと思います。自分が楽しいと思えることを軸に生きてみることも、選択肢の一つとして考えてみてほしいと思います。
編集後記
「自分でできることは自分で」という言葉は、本人の可能性を広げる一方で、助けを求めにくくすることもあります。奥田さんの経験から見えてきたのは、自立とはすべてを一人でこなすことではなく、必要な支援を選びながら、自分らしい暮らしを築いていくことだということです。本稿が、本人や家族が困りごとを抱え込まず、周囲に頼ることも大切な選択肢の一つだと考えるきっかけにしていただけますと幸いです。
なお、メディカルドックでは病気の認知拡大や定期検診の重要性を伝えるため、闘病者の方の声を募集しております。皆さまからのご応募お待ちしております。
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