「階段の上り下りで膝が痛む」「立ち上がるときに膝が痛い」――このような症状に悩んでいるひとは少なくありません。治療には運動療法や薬物療法、手術などさまざまな選択肢があり、近年は再生医療も注目されています。今回は、膝の痛みの原因や治療法、再生医療について、リペアセルクリニック東京院院長の藤間先生に話を聞きました。
※2026年6月取材。

監修医師:
藤間 保晶(リペアセルクリニック東京院)
三重大学医学部医学科卒業後、奈良県立医科大学整形外科に入局。奈良県立奈良病院(現・奈良県総合医療センター)救命救急センター、済生会奈良病院整形外科、市立奈良病院整形外科、国立病院機構奈良医療センター整形外科などの医局関連病院を経て現職。現在も下肢機能再建を目指した手術執刀を行っている。日本再生医療学会代議員・再生医療認定医、日本膝関節学会評議員、日本スポーツ整形外科学会評議員、日本オステオトミー学会評議員、関西関節鏡・膝研究会幹事、日本整形外科学会専門医・認定運動器リハビリテーション医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。日本内科学会、日本糖尿病協会、日本脳神経外科学会、日本脊髄外科学会の各会員。
膝の痛みの原因って? 進行するとどうなるの?
編集部
膝が痛い場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
藤間先生
膝の痛みの原因はさまざまです。スポーツによる靱帯損傷や半月板損傷、腱の炎症のほか、関節リウマチなどの病気が原因となることもあります。また、加齢や長年の負担によって関節の軟骨が傷つき、痛みが生じることも少なくありません。
編集部
膝の痛みで受診するひとは、どのような病気が多いのでしょうか?
藤間先生
中高年の場合、変形性膝関節症が非常に多く見られます。関節の軟骨が徐々に傷んですり減り、炎症や変形につながって、痛みや動かしにくさが表れる病気です。加齢だけでなく、遺伝的要因や肥満、生活歴、受傷歴なども発症に関係すると考えられています。
編集部
変形性膝関節症は、どのように進行していくのでしょうか?
藤間先生
初期は立ち上がりや歩き始めなど、動き始めに痛みを感じる程度のこともあります。進行すると歩行や階段の上り下りがつらくなり、さらに悪化すると安静時にも痛みが出たり、膝の変形が目立ったりしてきます。日常生活に大きな影響を及ぼすため、早めに適切な対応を検討することが望ましいでしょう。
膝の痛みにはどのような治療法がある?
編集部
変形性膝関節症に対して、自分でできる対処法はありますか?
藤間先生
体重管理や筋力強化、ストレッチなどは膝への負担軽減につながります。また、運動量の調整、サポーターの活用も有効な場合があります。ただし、痛みが続く場合は医療機関への相談をおすすめします。
編集部
医療機関ではどのような治療が行われるのでしょうか?
藤間先生
まずは保存療法が中心となります。運動療法やリハビリテーション、鎮痛薬の内服、ヒアルロン酸注射などが代表的です。肥満のあるひとは減量も推奨されますし、サポーターやインソールといった装具療法も用いられます。また、床座り生活のひとは椅子に代えるなど、生活環境の改善も進行予防に有用とされています。症状や進行度に応じて、これらを組み合わせながら治療を進めますが、場合によっては手術が検討されます。
編集部
具体的に、どのようなケースで手術が勧められるのでしょうか?
藤間先生
保存療法を続けても十分な改善が得られず、歩行や日常生活に大きな支障が出ている場合などですね。膝周囲骨切り術や人工膝関節置換術などが代表的です。患者さんの年齢や活動性、関節の状態を踏まえて術式を決定します。ただし、「手術か運動療法か」というわけではなく、手術をした場合も、その後のリハビリテーションとして運動療法は必要です。

