入院するほどの感染症で認知症リスク2.4倍… 33万人調査で判明、予防のポイントを医師が解説

入院するほどの感染症で認知症リスク2.4倍… 33万人調査で判明、予防のポイントを医師が解説

風邪や肺炎など、誰もが一度は経験したことのある感染症。こうした身近な感染症が、将来の認知症リスクと深く関わっている可能性があることが、中国・北京大学の研究グループの研究で明らかになりました。同グループは、大規模な健康データを分析し、入院を伴うほどの感染症にかかった人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが大幅に高いと報告しています。今回は、この内容について伊藤先生に伺いました。

伊藤 たえ

監修医師:
伊藤 たえ(医師)

浜松医科大学医学部卒業。浜松医科大学医学部附属病院初期研修。東京都の総合病院脳神経外科、菅原脳神経外科クリニックなどを経て赤坂パークビル脳神経外科菅原クリニック東京脳ドックの院長に就任。日本脳神経外科学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳ドック学会認定医。

研究グループが発表した内容とは?

編集部

北京大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

伊藤先生

入院治療を要した感染症がある人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが約2.4倍高いことが、北京大学の研究員らの調査で分かりました。対象は、英国バイオバンク(英国の大規模住民データベース)に登録された33万9463人分のデータで、約13年の追跡調査で5638人が新たに認知症を発症していました。この傾向は病原体の種類や重症度、感染部位によらず一貫しており、若年性認知症(65歳未満で発症する認知症)のリスクとも強く関連していました。アルツハイマー病や血管性認知症などの種類、アルツハイマー病になりやすいAPOE ε4遺伝子(アポリポタンパクE遺伝子の一種)の有無にかかわらず、感染症と認知症の関連は見られました。さらに、体の老化度を示す「表現型年齢」が高い人ほど、感染症による認知症リスクの上昇がより顕著でした。研究者らは、感染予防や老化を遅らせる取り組みが認知症予防に役立つ可能性があるとし、対策にはAPOE ε4遺伝子の有無や年齢層を考慮する必要があると結論づけています。

認知症のリスク要因とは?

編集部

認知症のリスク要因について教えてください。

伊藤先生

認知症は加齢や遺伝など変えられない要因だけでなく、日常生活の中に潜む要因によってもリスクが左右されることが分かっています。教育期間の短さや高血圧、肥満、難聴、喫煙、うつ病、運動不足、社会的孤立、糖尿病、さらには過度の飲酒や頭部外傷、大気汚染といった要因を改善することで、認知症の発症や進行を大きく防げる可能性があると報告されています。WHO(世界保健機関)も、体を動かすこと、禁煙、バランスのよい食事、節度ある飲酒、脳を使う活動、人とのつながりを保つこと、適正体重の維持、血圧や血糖、脂質の管理が認知症予防に役立つとしています。将来の自分のために、日々の生活習慣を少しずつ見直すことから始めてみましょう。
配信元: Medical DOC

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