診断されないことのリスクと、合言葉「7-2-1」
天野先生
診断されないと、どんなリスクがありますか。
長尾先生
妊娠・出産時のリスクが大きいです。フォンヴィレブランド病や血友病の保因者は、月経や産後の出血量が多すぎて子宮を摘出するケースが多いというデータがあります。事前に状態が分かっていれば、凝固因子を補ってから出産するなど、備えができます。手術で大出血して初めて分かる人も少なくありません。
天野先生
気づきのために、欧米では「7-2-1」という数字で啓発しています。長尾先生、説明をお願いします。
長尾先生
覚えて帰ってほしい数字です。7は7日以上続く月経、2は2時間ごとより頻繁にナプキンを替えること、1は100円玉より大きい血の塊が出ること。一つでも当てはまれば、過多月経かもしれません。自分では気づきにくい過多月経に気づくための合言葉です。
天野先生
ずっとそうだから普通だと思っていたことが、実は普通ではなかった。それに気づける数字ですね。7月21日を啓発の日にできればと考えています。長尾先生たちは、一般の人と医療機関の双方に向けたチラシも作り、4000以上の施設に配ったそうですね。
長尾先生
小児科や耳鼻科、歯科、婦人科など、診断の最前線にいる先生にも届けています。本人にも医療機関にも、少しずつ知ってもらう取り組みを始めています。
症状に悩む女性が我慢せずに受診できる社会に
天野先生
アンケートからは、ほかにどんな思いが見えましたか。
上村氏
診断をきっかけに、我慢してきた症状の意味が初めて分かり、「もっと早く知っていれば」という後悔に変わる人がいました。日常化して我慢できてしまうために受診につながらない、という声も多くありました。保因者という言葉自体が「症状がない」と誤解されがちで、婦人科で診断に至らないことも多いのです。自分の体について知る権利がある、正しい情報を届けてほしい、という声も寄せられました。同じ立場の仲間とつながるピアサポート(同じ経験を持つ人どうしの支え合い)の場を、もっと増やし、広く知ってほしいという願いもありました。
天野先生
長尾先生、当事者の声をどう受け止めましたか。
長尾先生
本当にその通りだと痛感しました。婦人科の先生方には、過多月経の裏に出血性の病気が隠れている可能性を知ってほしいですし、私たち血液内科医も婦人科との連携を深める必要があります。「7-2-1」のような具体的な指標で、気づきのきっかけを広げていきたいと思います。
天野先生
最後に、上村さんからメッセージをお願いします。
上村氏
一番伝えたいのは、保因者にも症状があるということです。「保因者だから症状がない」という誤解をなくし、女性の血友病という言葉が広く知られてほしいと願っています。症状に悩む女性が、一人で我慢せずに受診できる社会になってほしい。そのためにも、今日のような情報が、もっと多くの人に届く必要があります。
天野先生
知っているか知らないかで、対応は大きく変わります。今日の内容が、困っている人に届くことを願っています。
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