松屋フーズが運営するとんかつチェーン「松のや」は30日、夏休みの家庭支援として発表した「ママ応援企画」の利用条件と名称をわずか1日で変更し、誰でも利用可能な「夏休み企画」へと内容を変更した。29日に公開された当初の企画は「15歳以下の子供と母親」に対象を限定した割引施策だったが、SNS上では父親の除外やジェンダー役割の固定化を懸念する声、券売機での本人確認の難しさを示す指摘が相次ぎ、同社は翌30日、すべての利用者が活用できる全世代向けの施策へと迅速な切り替えを行った。
「全員利用可」へ電撃変更
しかし、投稿直後からSNS上では大きな反響が巻き起こった。これに対し、公式アカウントは「たしかにその通りだなと感じました。配慮が足りず、申し訳ありません」と謝罪文を投稿し、即座に社内調整を開始。翌30日には名称を「夏休み企画」に改め、「どなたでもご利用できます」と利用条件の撤廃を発表した。
この迅速な対応に対し、SNS上では企業の姿勢を評価する声や、元の善意施策を応援する投稿が多数寄せられた。
「これだけの企画をして下さる松のやさんには、感謝しかない」
「松のや、神対応やね こういう会社を応援したい」
「映画のレディース割や、シニア割は文句言わないのに なんでこれには文句言うのかわからん。 ホントしょーもない。こんなことでグチグチ言っている人くだらないと心から思う。 松のやさん、気にせずがんばってください」
なぜ議論は過熱したのか
今回の変更劇の背景には、単なる割引サービスの是非にとどまらない、多様な視点が存在していた。
一つは、育児におけるジェンダー役割の固定化に対する疑問である。「夏休みの食事作りは母親の大変な仕事」という前提が、ワンオペ育児を当然視する価値観を再生産しているのではないかという指摘だ。
「『子育て応援企画』として考えた場合、『ママ応援企画』は男性の育児参加という大正義のお題目を損ねていることになるので企画変更は当然ではある。育児は女性がやるものというジェンダー役割の固定化を言っていることになるので」
また、店舗の自動券売機という仕組みに対して、実務的な観点から疑問を呈する声も目立った。
「これ松のやをよく利用する人ほど『男女差別云々』ではなくて『自動券売機なのにどうやってママかどうか判定するんだ?』という所が疑問だったはずなんだよな」
一方で、炎上や批判に対して迅速かつ柔軟に施策を万人向けへ軌道修正した企業のマーケティング能力を評価する見方も存在する。
「松のや、お気持ち表明クソリプに対して万人向けキャンペーンにシュッと変更対応できるの、マーケティング能力が高いな~と感心した。最初からクソリプ来ることまで想定してたとしたら、さすがに唸る」
全員が対象となったことで、事前に契約されていた原料の在庫が無くなり次第、企画が早期終了する可能性も示唆されている。しかし、寄せられた声に対して迅速に耳を傾け、より多くの人に還元する形へと着地させた柔軟な対応は、多くの消費者において強く印象に残る出来事となった。

