先端巨大症(せんたんきょだいしょう)は、脳の下垂体にできた腫瘍などの影響で成長ホルモンが過剰に分泌され、手足の先端や顔つきが少しずつ変化していく病気です。進行がゆっくりで気付きにくく、放置すると合併症のリスクが高まるといわれています。山中さん(仮称)が異変を知ったのは、“久しぶりに会った親戚”から顔つきの変化を指摘されたことがきっかけでした。自分で調べて内分泌科を受診し、2016年10月、27歳のときに先端巨大症と診断されます。翌年には手術を受け、現在は通院で治療を続けています。山中さんに、発覚から診断、治療、現在に至るまでの経緯を聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2026年4月取材。
体験者プロフィール:
山中さん(仮称)
1989年生まれ、大阪府在住。既婚で2児の父。診断時の職業はメーカーの営業。2016年10月に先端巨大症と診断され、2017年1月に手術を受ける。現在は通院で治療を続けている。
親戚からの指摘で異変に気付く
編集部
体に異変を感じたのは、いつごろでしたか?
山中さん
2016年の夏休みに、久しぶりに会った親戚から「そんなごつい顔してたっけ?」「なんか眉毛のところの骨、出てない?」と、容姿の変化を指摘されたときです。
編集部
そもそも先端巨大症とは、どのような病気なのでしょうか?
山中さん
多くの場合、脳の下垂体(かすいたい/脳の下にあり、成長ホルモンなどさまざまなホルモンを分泌する器官)にできた良性の腫瘍が成長ホルモンを過剰に分泌することが原因で起こる病気です。その影響で、手足の先端や顔(額、鼻、あご)などが肥大し、容姿が変わってしまいます。放置すると、将来的に大腸がんなどのリスクが上がるといわれているため、手術が第一選択になるそうです。
編集部
診断が確定するまでの経緯を教えてください。
山中さん
自分でも違和感を覚え、インターネットで調べたところ、先端巨大症という病名にたどり着きました。その後、近くの内分泌科(ホルモンの病気を扱う診療科)を受診し、成長ホルモンの値を調べてもらったところ、かなり高い数値が出たのです。そこで精密検査のために入院し、2016年10月ごろに先端巨大症の診断が確定したと覚えています。
編集部
医師からは、どのような説明がありましたか?
山中さん
医師からは「手術が第一選択だが、まずは確定診断をつけるために検査入院が必要になる。それから、指定難病になるので申請もしてほしい。手術はすぐにはできないので、順を追ってやっていこう」という話でした。指定難病とは、国が定めた難病のうち、医療費助成の対象となるものです。※治療方針は患者さんの状態によって異なります
手術への不安もあったが…
編集部
病名が分かったときの率直な心境を教えてください。
山中さん
「なぜ?」という感じでした。あとは、「面倒だなあ」とも思いました。その時期はちょうど仕事で部署を異動したばかりで、これからというときだったので、「手術するならさっさとやってくれ」と感じていました。実際には検査入院や、何度かの診察といったステップを踏まなければならず、おっくうでした。
それと、手術に伴う尿道カテーテルが怖かったですね。全身麻酔をするときには必須らしく、尿道にカテーテルを入れるのがとにかく怖かった。とはいえ、結果としてはたいしたことはありませんでした。
編集部
手術は、どのように受けたのでしょうか?
山中さん
2017年の年明けから1月20日前後まで入院し、鼻から内視鏡を入れて下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ/下垂体にできる腫瘍)を切除する手術を受けました。体の負担が少なく、退院後1〜2週間で日常生活に戻れました。腫瘍はおおむね取り除けたのですが、動脈の付近にわずかに残ったため、その後は月1回の注射薬でコントロールしていくことになりました。手術直後は、鼻呼吸ができないのがやや大変だったものの、ゲームをして気分転換をしながら乗り越えられました。
編集部
現在は、どのような治療を続けていますか?
山中さん
成長ホルモンなどの過剰な分泌を抑える薬を投与してもらい、成長ホルモンやIGF-1(成長因子の一種で、成長ホルモンの作用・活動性を反映する指標)を正常値にコントロールしています。血液検査は2カ月に1度のペースです。あわせて、5年に1度くらい大腸内視鏡検査を受けて経過を見たほうがよいという医師の勧めで、これまでに2度受けましたが、今のところ問題はありません。
編集部
治療に伴う苦労はありますか?
山中さん
通院が手間ですね。それと、慣れてはきましたが、お尻に打つ筋肉注射が痛いときがあることです。とはいえ、通院も治療も生活の一部になってしまえば、たいした苦労ではないのですけど。

