突然、体にいくつもの紫色のアザができたのは、Kuonさん(仮称)が10代のころでした。皮膚科で薬を処方されてもアザは増え、強い痛みも感じるようになったといいます。その後、大学病院の膠原病(こうげんびょう)内科と皮膚科で検査を受けた結果、診断されたのは、抗C1q血管炎(免疫の異常で血管に炎症が起こる、患者数の少ない自己免疫疾患)でした。Kuonさんに、発症から診断、そして現在の治療までの道のりを聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2026年2月取材。
体験者プロフィール:
Kuonさん(仮称)
1984年生まれ、茨城県在住。1999年、10代のときに抗C1q血管炎を発症。2003年、進学を機に受診した大学病院で診断が確定した。現在もステロイドや免疫抑制薬を中心とした治療を続けている。
きっかけは脚の不快感
紫色のアザ
編集部
最初に体の異変を感じたのは、どんな症状でしたか?
Kuonさん
試験勉強中に、突然、脚にこれまで感じたことのない不快感が表れました。慌ててお風呂に駆け込んで確認すると、握り拳くらいの紫色のアザが数個できていたんです。不快感を覚えた時点では「疲れているのかも」と思っていましたが、アザを見た瞬間、「何かよからぬことが起こったのでは?」と戦慄(せんりつ)を覚えました。
編集部
診断が下されるまでには、どのような経緯をたどったのでしょうか?
Kuonさん
アザが気になり、まずは皮膚科クリニックを受診したところ、特に検査や説明もなく塗り薬を処方されました。しかし、症状は悪化する一方でした。大きな病院へ行ってもどの科を受診すればよいか分からず、受付の人に勧められたのが総合診療科です。何度かの診察の後、「免疫に気になる点があります」と医師に言われ、大学病院の膠原病内科と皮膚科を紹介してもらったんです。
大学病院では初診日に血液検査、皮膚生検(ひふせいけん/皮膚の一部を採取して詳しく調べる検査)、画像検査を受け、診断はすぐに出ました。
編集部
診断結果を聞いたときの気持ちを教えてください。
Kuonさん
ショックを受けた反面、病名が分かったことへの安堵もありました。また希望と、これから始まる闘病への恐怖が入り混じり、混乱しました。
この日の手帳には、心のブレが手に取るように分かるほど、なぐり書きのようなポエムばかり並んでいました。
編集部
治療について医師からはどのような説明がありましたか?
Kuonさん
医師は、資料やほかの患者さんの体験談を見せながら、「一生一緒に付き合う病気です」と話してくれました。治療薬として提示されたのはステロイドでした。報道の影響で怖いものだと思い込んでいましたが、薬が症状の改善につながる仕組みを教えてもらい、正しく理解できました。
編集部
実際の治療は、どのように進んでいったのでしょうか?
Kuonさん
自己免疫疾患の標準治療を、フルコースで受けました。最初はステロイドパルス療法(短期間に大量のステロイドを点滴で投与する治療法)です。その後はステロイドに加えて、免疫抑制薬(免疫の過剰な働きを抑える薬)や鎮痛薬、抗アレルギー薬、感染症を予防する薬を使うようになり、眠れないときには睡眠薬も飲んでいました。
現在は更年期にさしかかり、骨粗しょう症も見られることから、骨折を防ぐためにビスホスホネート製剤(骨密度の低下を抑える薬)による治療も続けています。
医師を頼ることが大切
ステロイドの副作用で抜けた体毛
編集部
現在の調子はいかがですか?
Kuonさん
実は、まだ一進一退です。すごく調子がいいと思った数時間後に、寝込んでしまうこともあります。一方で、気持ちのゆとりは持てるようになりました。検査結果には一喜一憂しますが、主治医の「悪い結果の次は、よくなる。伸びしろの証拠」という考え方に励まされています。
編集部
治療中、心の支えにしてきたものは何ですか?
Kuonさん
読書とお笑い鑑賞です。室内で過ごす時間が否応なく増えたこともあり、どっぷりハマって、もう趣味の域を超えるほどです。また、病気についての市民講座や患者コミュニティにも参加しました。医師や患者さんの話からは、たくさんの勇気をもらえました。
編集部
発症後、特に困ったことや印象に残っている出来事はありますか?
Kuonさん
ステロイドの副作用で、ムーンフェイス(顔が丸くなる症状)や脱毛が起こり、精神的に不安定になることがありました。見た目の変化はどうしてもからかいの対象になりやすく、心の負担が大きかったですね。さらに、健康サプリや民間療法の勧誘を受けたことはとてもつらく、今でも悔しい思い出です。
編集部
見た目の変化や勧誘のつらさには、どのように対応してきたのでしょうか?
Kuonさん
必ず主治医に相談するようにしました。最終的に決断するのは自分自身ですが、医療従事者の話を聞くことは、自分の命と心を守る砦(とりで)になりました。迷ったときこそ、正確な情報にたどり着くことが大切だと思っています。

