閉経後の女性が糖尿病を予防するためには?
編集部
閉経後の女性が、まず意識したほうがいいことを教えてください。
東谷先生
まずは健診で血糖値とHbA1cを確認することが大切です。この時期の女性は家庭のことや仕事、介護などやるべきことがたくさんあり、自分のことを後回しにしてしまう人が多く見られます。しかし、気付かないうちに糖尿病を発症していたり、予備群といわれる状態になっていたりすることも少なくありません。必ず健診を受けてください。
編集部
特に注意が必要な人はいますか?
東谷先生
閉経後の体重増加や腹囲の増大、糖尿病の家族歴、妊娠糖尿病の経験がある人は、特に注意が必要です。糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどないため気付きにくい病気です。予備群の段階から生活習慣を整えることを意識しましょう。
編集部
食事面では、どのようなことに気を付ければよいですか?
東谷先生
極端な糖質制限よりも、食べ方を安定させましょう。1日3食を基本に、食事時間をなるべく整え、まとめ食いや夜遅い食事は避けてください。主食、主菜、副菜をそろえ、野菜、海藻、きのこ、大豆製品などを上手に取り入れることも有効です。甘い飲みものや間食が習慣になっている場合は、量や頻度を見直しましょう。
閉経後は筋肉量の維持も重要なので、自己流で食事量を減らしすぎないことも大切です。
編集部
「頭では分かってはいるけど、なかなか改善できない」という人も多いと思います。
東谷先生
その場合は、スマートフォンの食事管理アプリを利用するのもおすすめです。毎食の内容を記録するだけで、自分がどんなものを食べているかを「見える化」でき、食事への意識が高まるからです。アプリを使わなくても、毎食を写真に収めるのもよいでしょう。1食分を写真1枚に収めることで量の調節につながり、だらだらと食べ続けるのを防げます。
編集部
運動はどの程度行えばよいのでしょうか?
東谷先生
目安としては、ウォーキングなどの中等度の有酸素運動を週150分以上、筋力トレーニングを週2〜3回行うことが勧められます。膝や腰に痛みがある人、心臓病や高血圧がある人は無理をせず、医師に相談して安全に始めましょう。
編集部
具体的に、どのようなメニューをこなせばよいのでしょうか?
東谷先生
血糖値を下げるためには、まず歩く習慣を付けてください。スマートフォンの歩数計などを活用し、1日8000〜1万歩を目安にするとよいでしょう。可能であれば、ただ歩くのではなく「運動として歩く」と意識し、両腕をしっかり振りながら、やや速めのペースで歩くことがおすすめです。また、筋肉には血液中の糖を取り込む働きがあるため、筋肉量を保つことも血糖管理に役立ちます。フレイル(加齢によって心身の働きが弱くなった状態)や転倒、骨折の予防にもつながるため、自宅でできるスクワットや足踏みなど、無理のない範囲で筋力トレーニングも取り入れてください。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
東谷先生
更年期は「ゆらぎの世代」とも呼ばれ、女性ホルモンの変化によって心身の状態が安定しにくくなる時期です。しかし、疲れやすさ、気分の落ち込み、動悸、冷えなどを、すべて更年期のせいと決めつけてはいけません。同じような症状が、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌が少なくなる病気)など別の病気によって起こっていることもあります。まずは健診や医療機関の受診によってほかの病気がないかを確認し、更年期障害と分かった場合には適切な治療やケアを考えることが大切です。
編集部まとめ
心身の不調を「更年期だから仕方がない」と我慢していると、本人にとってつらいだけでなく、大事な病気を見逃す恐れもあります。まずは医療機関で原因を確認することが大切です。受診をきっかけに、自分の体や生活習慣を見直し、これからの人生を健やかに過ごすための機会にしたいですね。

