「鼻づまりはもう慣れた」が危ない——手術で呼吸が楽になるまでのプロセスを医師が解説

「鼻づまりはもう慣れた」が危ない——手術で呼吸が楽になるまでのプロセスを医師が解説

手術後、「楽になった」と感じるまで

手術後、「楽になった」と感じるまで

編集部

術後すぐに呼吸は楽になりますか?

川野先生

手術直後は患部の腫れやガーゼの影響で、一時的に鼻がつまった感覚が続きます。数日~1週間で腫れが落ち着き始め、2~4週間で「明らかに楽になった」と実感できる人が多いですね。さらに時間の経過とともに、
・朝すっきり起きられるようになった
・仕事や勉強に集中しやすくなった
・以前より疲れにくくなった
など、呼吸が変わることで生活の変化を感じるようになる人もいます。
もちろん回復には個人差がありますので、焦らず医師に経過を診てもらうことが大切です。

編集部

痛みや出血はどの程度あるのでしょうか?

川野先生

強い痛みが長く続くことはほとんどなく、多くの人は鎮痛薬で十分コントロールできます。
鼻の中は血流が豊富なため、術後に少量の血が数日にじむことは珍しくありません。これは傷が治る過程で見られる自然な経過で、多くは心配ありません。
術後2週間ほどは激しい運動や飲酒、長時間の入浴を控え、鼻を強くかまないことが大切です。
デスクワークであれば、数日で仕事に復帰する人も多くいます。

編集部

術後に再発することはありますか?

川野先生

好酸球性副鼻腔炎のように再発を繰り返しやすい病気は確かにあります。ただ、多くの場合は手術前より症状が軽くなり、再手術が必要になるケースは限られています。
再発を防ぐためには、手術だけで終わりにせず、定期的な通院による経過観察と、必要に応じた薬物療法を続けることが欠かせません。
好酸球性副鼻腔炎では近年、生物学的製剤(炎症に関わる物質の働きを抑える注射薬)という治療法も登場し、手術と組み合わせることで良好な状態を維持できる患者さんも増えています。
一人ひとりの病気の特徴に合わせて治療を長く続けていくことが、何よりの再発予防になります。

編集部

手術を受けられないケースもあるのでしょうか?

川野先生

抗血栓薬を服用している人や、重い糖尿病など全身の病気がある人は、事前に全身状態を慎重に確認する必要があります。
ただし、それだけで手術が受けられないと決まるわけではありません。主治医と連携しながら、安全に手術が行えるかを一人ひとり判断していきます。
また、鼻づまりの原因によっては、手術よりも薬による治療が適している場合もあります。
大切なのは、「手術ができるか」ではなく、「その人にとって本当に手術が必要かどうか」を見極めることです。まずは耳鼻咽喉科で相談してもらいたいと思います。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

川野先生

鼻づまりは、「昔からだから」「体質だから」「薬を使えば何とかなる」と、そのままにされてしまいがちです。
しかし、私が本当に知ってもらいたいのは、鼻づまりそのものではなく、呼吸の質が低下していることです。
鼻は空気の通り道です。鼻でしっかり呼吸できるようになることで、睡眠や日中の集中力、疲れやすさなどが改善し、生活が大きく変わった人を、私は数多く診てきました。
私は、治療は「知ること・理解すること・選択すること」から始まると考えています。
自分の鼻がどのような状態で、なぜ症状が続いているのか——それが分かれば、薬が適しているのか、手術で改善が期待できるのかも見えてきます。
手術を受けることがゴールではありません。自分の鼻の状態を知り、自分に合った治療を選ぶことがゴールです。
鼻づまりが続いている人は、「年齢のせい」「体質だから」と決めつけず、まずは今の鼻の状態を知るために、一度耳鼻咽喉科で相談してみてください。
呼吸が変わると、生活が変わる。私はそう考えています。

編集部まとめ

鼻づまりは、多くの人が経験する身近な症状ですが、その背景にはアレルギー性鼻炎や慢性副鼻腔炎、鼻中隔弯曲症など、さまざまな原因があります。症状だけで判断するのではなく、原因を正しく診断し、自分に合った治療法を選ぶことが大切です。
慢性的な鼻づまりで困っている人は、一度耳鼻咽喉科で相談してみてはいかがでしょうか?

配信元: Medical DOC

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