【闘病】止まらぬ“鼻血”で救急搬送… その正体は『急性骨髄性白血病』だった

【闘病】止まらぬ“鼻血”で救急搬送… その正体は『急性骨髄性白血病』だった

ありふれた鼻血、立っていられないほどの倦怠感――。日常のわずかな不調の陰で、病は静かに進行していました。3児の父で、ホテル総支配人であり美術家でもある斎藤由朋さんを襲ったのは、進行の速い血液がん・急性骨髄性白血病。当初は特発性血小板減少性紫斑病(血小板が減少し、出血しやすくなる難病)と診断されました。しかし、その診断が骨髄異形成症候群(こつずいいけいせいしょうこうぐん)を経て白血病へと移行し、2025年には妹をドナーとする移植を受けました。GVHD(移植片対宿主病/移植した免疫細胞が患者さん自身の体を攻撃してしまう合併症)やECP(体外循環光化学療法/移植後に起こる免疫の異常を抑えるため、血液中の免疫細胞を体の外で特殊な光を使って調整する治療)といった治療と向き合いながらも、「その日の状態を受け入れ、自分のペースで進む」という姿勢を貫く斎藤さん。闘病とは何か、そして病とともに生きる日々について話を聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2026年4月取材。

斎藤さん

体験者プロフィール:
斎藤由朋さん

仙台市在住、1976年生まれ。結婚し3児(高2男子、中1双子女子)の父。診断当時はホテルの総支配人を務めるかたわら、美術家としても活動。2024年4月、強い倦怠感と息切れ、微熱が続いたのをきっかけに受診。当初は特発性血小板減少性紫斑病と診断されたものの、のちに骨髄異形成症候群、さらに急性骨髄性白血病へ移行。現在は治療を継続しながら、治療の記憶を反映させたアート作品の制作などに取り組んでいる。

静かに近づき進行する病魔

静かに近づき進行する病魔

編集部

はじめに斎藤さんが『特発性血小板減少性紫斑病』と診断された際、どのような症状がありましたか?

斎藤さん

診断される4カ月前、息もできないくらいの鼻血が数時間止まらず、夜間だったため、救急車で地域の中核病院へ運ばれました。その際は出血部分を焼く処置を行い、後日、血液検査などをしました。今思えば、あの時の鼻血が始まりだったと思います。その後「疲れやすい」「階段で息が切れる」「微熱が続く」といった、誰にでもありそうな症状がありましたね。体の中で静かに進行していくので、気づきにくいという怖さがありました。

編集部

受診しようと思った決定的な出来事はありましたか?

斎藤さん

普段なら問題なくできることが急にできなくなったからです。立っているだけでしんどい、動悸(どうき)がするという感覚が続き、単なる疲れではないと思いました。

編集部

受診から病名発覚までの経緯を教えてください。

斎藤さん

受診後は血液検査で異常が見つかり、精密検査へと進みました。当初は特発性血小板減少性紫斑病と診断されましたが、経過観察と治療を続ける中で骨髄異形成症候群(血液を作る骨髄の異常により、正常な血液が十分に作れなくなる病気)、さらに急性骨髄性白血病(骨髄の中で白血球を作る細胞ががん化し、無制限に増える進行の速い血液がん)へと移行していきました。

編集部

「急性骨髄性白血病へ移行した」と告知された時の心境はどうでしたか?

斎藤さん

さらに進んでしまったのかと、現実を受け止めるまで時間がかかりました。ただ同時に、治療に取り組むしかないという覚悟も生まれました。

編集部

医師からはどのような説明がありましたか?

斎藤さん

骨髄異形成症候群が急性骨髄性白血病へ移行した点、治療を急ぐ必要性、抗がん剤治療や移植、その後の副作用や感染症リスクについての説明を受けました。難しい内容も多かったものの、命に関わる局面であると理解できました。

親族からの移植と、さまざまな治療

親族からの移植と、さまざまな治療

編集部

移植までの経緯はどうでしたか?

斎藤さん

骨髄バンクを介した移植を試みましたが、1回目は自身の体調悪化により延期、2回目はドナー側の都合で中止となりました。その後、2025年5月1日に妹からのハプロ移植(半合致移植/白血球の型が半分一致するドナーからの移植)※先ほどの記事ではこの表記だったのでを受けました。

編集部

そのほかの治療についても教えてください。

斎藤さん

抗がん剤治療や輸血、必要に応じた支持療法(病気による症状や、治療に伴う副作用や合併症などの症状を軽くするための予防や治療)を受けています。また、移植後には提供された免疫細胞が正常な臓器を異物とみなして攻撃し、合併症を引き起こす場合があるため、その症状を抑え、予防するためのGVHD(移植片対宿主病)治療も続けています。さらに現在は、ECP(体外循環光化学療法)という、体外に取り出した血液から白血球を分離し、光感受性物質を加えたうえで紫外線を照射してから体内に戻す治療なども受けながら、副作用のコントロールをしています。

編集部

治療の過程で最も身体的に、あるいは精神的につらい点は何ですか?

斎藤さん

身体的には強い倦怠(けんたい)感と免疫抑制による生活制限です。精神的には、先の見えない治療期間と「いつ終わるのか分からない、いつ社会復帰できるのか」という不安が最もつらいですね。

編集部

斎藤さんなりの対処法などあれば教えてください。

斎藤さん

私は急いで治そうとするよりも、体の回復する速度に合わせて進む“ゆっくり派”です。焦っても体がついてこない時期を何度も経験したので、治療も生活も自分のペースを尊重するようになりました。私はもともと美術家として制作を続けてきたこともあり、体調や気持ちを記録し、言葉や作品として表現することで、漠然とした不安を少し外に出しています。無理に前向きになろうとせず、その日の状態を受け入れることも大事にしています。

編集部

病気発症後、支えになった人や言葉、出来事はありますか?

斎藤さん

医療従事者たちの淡々とした専門性の高い説明と、家族や周囲からの「今日は少し顔色がいいね」といった何気ない一言に何度も救われました。特に妻は、急がせることなく私の回復のペースを尊重し、常に寄り添ってくれた大きな支えです。また、ドナーとして命をつないでくれた妹や、輸血や治療を支えてくれる献血者への感謝も、闘病を支える大きな力になっています。

編集部

病気発覚後、ライフスタイルに生じた変化は何ですか?

斎藤さん

生活の中心が「予定」ではなく「体調」になりました。天気や時間よりも、血液データや副作用の波で一日をどう過ごすか考えるようになりました。

配信元: Medical DOC

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