●消費者契約法で契約を取り消せる可能性も
──閉店すると周知しながら、具体的な閉店予定日を知らせないまま営業を続ける行為はどうでしょうか。
評価は基本的に同じです。
閉店の予定が具体的に定まっていないのに「完全閉店」と掲げれば、消費者は「近いうちに必ず閉店する」と受け止めるでしょう。
表示と実態とのギャップが購買の判断に影響したといえる場合には、不当表示と評価される可能性があります。
さらに、「もうすぐ閉店するので今買わないと損だ」と説明され、その内容を信じて契約した場合、それが事実と異なれば、消費者契約法4条1項1号の「不実告知」として契約を取り消せる可能性があります。
不実告知は、事業者にだます意図があったかどうかは問われません。客観的に事実と異なる説明をしていれば成立し得ます。
●ポイントは「閉店の意思」と「表示が実態に合っているか」
──違法かどうかを見極めるポイントはありますか。
もっとも、実際に閉店へ向けて在庫処分を進めているものの、やむを得ない事情で閉店時期がずれ込んでいるケースまで、直ちに違法となるわけではありません。
重要なのは、閉店の意思や見込みが実際に存在するか、そして表示がその実態に見合っているかという点です。
閉店時期がまだ決まっていないのであれば、その時点での見通しを正確に伝えるべきですし、閉店日が決まったのであれば、速やかに明示することが求められます。
【取材協力弁護士】
金田 万作(かなだ・まんさく)弁護士
第二東京弁護士会消費者問題対策委員会(電子情報部会・金融部会)に所属。投資被害やクレジット・リース関連など複数の消費者問題に関する弁護団・研究会に参加。ベネッセの情報漏えい事件では自ら原告となり訴訟提起するとともに弁護団も結成し集団訴訟を行った。
事務所名:笠井・金田法律事務所
事務所URL:http://kasai-law.com

